2019年9月22日(日)

仲代達矢が語る日本映画黄金時代 春日太一著 謙譲の美徳、人間仲代に肉薄

2013/1/24付
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(PHP新書・780円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(PHP新書・780円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

春日太一という絶好の聞き手を得て、仲代達矢が、自身の主要主演作品のほぼすべてを語った。

子供ながらに経験した凄絶な戦争体験から、自己の根底にあるコンプレックスから屈折した心情。戦後の極貧生活から俳優座への入団等々。

そして聞き手と語り手双方が最も熱が入っているのは、「人間の條件」「切腹」等で組んだ小林正樹監督への思いである。小林に関しては後に、"鬼の小林、仏の(岡本)喜八"と記されるが、「切腹」における石浜朗の竹光を使っての切腹に対する、仲代vs丹波哲郎の対決とラストの刃もつぶしていない本身での立ち廻(まわ)りなど、読んでいて心胆寒からしめるものがある。

さらにはその才能が早過ぎて理解されなかった岡本喜八のこと。また互いに意識し合う黒澤明と五社英雄のこと等々。そしてその黒澤の純粋な子供のような面と裏腹となっている凄(すさ)まじい演出家としての一面。

またこの一巻を通して感じるのは、仲代の恩人たる先輩や後進に対してすら抱く謙譲の美徳である。春日はここで役者を超えた人間仲代にまで肉薄している。それが本書のあたたかなぬくもりの源である。

★★★★★

(文芸評論家 縄田一男)

[日本経済新聞夕刊2013年1月23日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書)

著者:春日 太一.
出版:PHP研究所
価格:819円(税込み)

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