2019年6月19日(水)

官製ファンドは日本経済の救世主か

2013/1/15付
保存
共有
印刷
その他

経済成長を重視する安倍政権の発足と軌を一にして、霞が関のあちこちで、公的資金を民間分野に投資するための官製ファンド(基金)構想が浮上している。

石原伸晃環境相は地球温暖化防止のために、再生可能エネルギーなどに投資するファンドの創設を表明した。

経済産業省は日本のアニメや食の海外展開を後押しするクールジャパン基金をつくる方針だ。

農林水産省は2月に農林漁業成長産業化支援機構を発足させ、やはり日本の第1次産業の国際化などに資金を投じる。

既存の基金の役割も増している。官製ファンドの先駆けである産業革新機構は昨年末に半導体大手のルネサスエレクトロニクスに最大2千億円近い出資を決めた。

同機構はソニーなどから中小型液晶事業を引き継いだジャパンディスプレイ社の経営も主導し、不振の続く国内電機産業の「駆け込み寺」的な存在になった。

なぜ、いま官製ファンドが注目されるのか。日本の家計や企業には潤沢な資金があるが、それがリスクを伴う投資に回らず、国全体の成長が滞っている。官製基金が突破口になり、リスクマネーの流れが定着すれば、日本経済の活性化につながると期待される。

財政当局としても、民間企業支援は「補助金ではなく、投資で」という思惑がありそうだ。補助金なら与えて終わりだが、投資なら大きな見返りがあり得るからだ。

半面、懸念も大きい。そもそも官製の組織に技術や投資案件の将来性を見抜く眼力が備わっているのか。投資に失敗すれば、単なる税金の無駄遣いに終わる。

公的資金が入ることで、利益追求というファンド本来の目標があいまいになり、再生の難しい企業の延命に使われる恐れもある。

経産省の一部では電機メーカーの設備などを公的資金で買い取る構想もあるようだが、それが日本経済の再生につながるのだろうか。役割を終えた企業を公的資金で救済することは自由競争の建前に反するし、産業の新陳代謝を阻害することで、日本経済を一段と停滞させかねない。

成長戦略の王道は法人税減税や貿易自由化、規制緩和によって企業の活力を引き出すことだ。それに加えて、官製ファンドの活用を考えるのなら、安倍政権は投資責任の明確化など規律厳守の方策を幾重にも講じる必要がある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報