2019年6月17日(月)

春秋

2013/1/13付
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付属高校からエスカレーター式に大学に入った学生は、就職活動で不利になる。そういううわさがあるそうだ。本紙電子版の連載企画「就活探偵団」で記者が採用担当者などを取材した。結論をばらすと、表向きは否定。しかし企業によっては本当の話なのだという。

▼例えばある食品会社は「付属校上がりはお断り」。理由は、大学受験をくぐり抜けておらず学力や精神力が鍛えられていないから。わが子に苦労をさせたくないと願う親心が裏目に出た格好だ。大勢の入社希望者を限られた期間内でさばくためもあり、本人のあずかり知らぬうちに熱意はひっそり門前払いされてしまう。

▼学生もすれていく。朝井リョウ氏の小説「何者」で、主人公の就活生は語る。「就活はトランプでいうダウト。一を百だって言う分には、バレなきゃオッケー」。生涯で一人数億円の投資となる企業は裏技を磨く。ある電機メーカーは面接時、素顔を知るため控室の態度もこっそり観察。こうして化かし合いが加速する。

▼いまの就活の姿が健全で理想的だと言い切る企業人は、まずいまい。まじめだが不器用な若者などは網からこぼれがちだ。学歴と印象に頼らず、時間と場を共にするお試し期間を経て、互いの素顔をじっくり理解し、長期契約に印鑑を押す。男女の結婚ならこれが普通になった。就活も、うまく変わっていけないものか。

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