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遊び奉行 野口卓著

劇的かつユーモラスな展開

(祥伝社・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

今年最後の書評を、この傑作で終えることができて、とても嬉(うれ)しい。

思えば約1年10カ月前、文庫オリジナル連作集『軍鶏(しゃも)侍』の解説を書くべく、そのゲラを読み終えたときの驚きと興奮は、いまも昨日のことのように記憶している。文庫書き下し時代小説の粗製濫造(らんぞう)が祟(たた)り、作品が右肩下りになったとき、この完璧なプロットと描写力は何だ! そして私は、この一巻が無名の新人の作品とはいえ、何故(なぜ)単行本で刊行されないのか、いぶかしく思った。

が、それも時間の問題だった。連作〈軍鶏侍〉シリーズは『獺祭(だっさい)』『飛翔(ひしょう)』と続き、『猫の椀(わん)』まで計4冊が文庫で刊行され、とうとうというかはやくもというか、〈軍鶏侍〉の番外篇(へん)が遂(つい)に単行本書き下し長篇としてお目見えすることになった。

ストーリーの詳述は避けるが、わざと裁許奉行=遊び奉行に落とされることによって、藩政を正す、側室の子、亀松の活躍を描く。その物語は、シェイクスピアや落語の研究者である作者の、時に劇的、時にユーモラスな展開によって快調そのもの。シリーズを通して読み、是非今年の読み収めにしていただきたい。

★★★★★

(文芸評論家 縄田一男)

[日本経済新聞夕刊2012年12月26日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

遊び奉行

著者:野口卓.
出版:祥伝社
価格:1,785円(税込み)

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