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日・EU交渉の前進に改革の実行力が要る

欧州連合(EU)が日本との経済連携交渉の開始を決めた。韓国とEUが協議に入ってから、6年近くも遅れてスタート台に立つことになる。交渉を急ぎ、対等に競争する条件を早く取り戻さなければならない。

日韓の企業は、欧州市場でライバル関係にある。先行する韓国には、EUは昨年7月から関税を引き下げ、同年7~12月の韓国の自動車輸出額は前年同期からほぼ倍増した。値段で勝負にならず、日本製品のシェア低下は著しい。

危機的な状況である。米国と並ぶ巨大市場のEUで日本勢が敗退し、長年かけて築いた「日本製」のブランド力まで失いかねない。国内政治の焦点となった環太平洋経済連携協定(TPP)の陰にかくれて目立たないが、輸出企業にとって、米国よりもEUの関税撤廃の方が差し迫った課題だ。

交渉入りしても安心は禁物だ。EU内には対日交渉への反対論が根強く残っている。業績不振のフランスとイタリアの自動車会社がその代表格だ。こうした保護主義勢力を押し切ってEUが交渉に踏み切ったのは、米国が主導するTPP交渉の効果が大きい。

日本がTPPに前向きな動きを見せたからこそ、EUは姿勢を転じた。日本が加わると、TPPの経済規模は世界全体の約4割となる。経済大国の日米が先に手を結べば、通商ルールづくりで自分たちの影響力が落ちるのではないかとEUは焦っている。再びEUを後退させないためには、TPP交渉への早期参加が欠かせない。

一方で、EUと米国の間では、日本やアジアを含まずに「環大西洋」で高い水準の自由化を目指す構想も浮上している。東アジアでは、米欧が加わらない地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も始まり、中国が意欲を示している。

米国かEUか中国か、どれか一つの極を選ぶという選択肢の問題ではない。複数の枠組みが競い合う状況を活用して、排他的なブロック経済を避けつつ、日本の国益に沿った成果を、自ら、どう創出するか。次期政権の経済外交に、その構想力と交渉力が問われる。

日・EU交渉では、日本側に非関税障壁の撤廃が厳しく求められるだろう。要求の核となる規制緩和や基準・認証の統一は、関税率の数字を調整する従来型の貿易交渉よりも格段に難しい。早期合意に導くには、国内で改革を強力に進める政治の実行力が必要だ。

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