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春秋

もう何十年も前の話だが、東武鉄道の浅草駅に行くのが楽しみだった。百貨店を併設した駅ビルだったし、屋上遊園地にも心が躍った。屋上に遊園地をつくったのはここが日本初だったそうだ。今では変哲もない正面のエスカレーターでさえ、果てしなく長く思えた。

▼そして、建物の2階から列車がきしむ音をたてながら隅田川に飛び出して行く。旅の第一歩がそこにあった。そんな思い出深い浅草駅ビルがあす、新装開業する。すでに外観は1931年の開業当時のネオ・ルネサンス様式に復元されている。これで、5月に開業した東京スカイツリーとの相乗効果も一層高まるだろう。

▼再開発が相次ぐ浅草では凌雲閣を復活させる計画もあるらしい。別名、浅草十二階。明治半ばに建てられた八角形のビルだ。高さはスカイツリーの十分の一もないが、当時の人々には十分だった。「十二階から見た山の眺めは日本にもたんとない眺望の一つである。それは秋の晴れた日に限る」と田山花袋も書いている。

▼眺望の魅力。それは鳥の目をもつ爽快感か、地上を見下ろす小さな優越感か。東京では100メートルを超す高層ビルが急増し、400棟近くになったそうだ。こんな変わり続ける東京で来月半ばに知事選がある。衆院選との同日選だ。秋の晴天ももうわずか。誰に今後を託すのか、ここはしっかりと目を凝らさねばなるまい。

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