ミャンマー経済の新しい光 尾高煌之助・三重野文晴編著 発展の条件を多方面から分析

2012/11/6付
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 今をときめくミャンマー。このところ、毎週数百人の日本のビジネスマンが投資機会を求めて押し寄せる。しかし、ミャンマーに関する我々の基礎知識は未(いま)だに決定的に不足している。

(勁草書房・3500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
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(勁草書房・3500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

 本書は立派な地域研究・開発経済学の研究書である。しかし、これから実務でミャンマーに関わっていこうとする人たちにも、他書では得られない多くの貴重な情報と有用な考え方を提示している。

 本書では、今後ミャンマーでは本格的工業化が必要となることを確認しつつ、経済発展の前提となる「内生的にしつらえるべき条件」について、経済思想史、農業・農村開発、マクロ経済、工業発展、為替レート、経済インフラ、対中経済関係といった多方面から分析を加えている。

 特に巻頭章は、尾高氏による政治・経済史、思想史的足跡にまで踏み込んだ重厚な経済開発論が展開されており、読みでがある。それは最終章の今後の開発シナリオの概観へとつながっている。

 他の章からも多くを学ぶことができる。たとえば、ミャンマーの工業化はごく初期の段階にあるが、既存企業・企業家のベースが意外に分厚い点は興味深い。実質為替レートの過度の増価が深刻な問題を引き起こしつつあることもよくわかる。経済インフラの整備状況や中国との貿易・投資関係を、評価を交えながらまとめてくれているのもありがたい。

 本書の指摘の中には、他の発展途上国に共通するものもあるが、一方でミャンマー独自の初期条件と思われる点も多々存在する。

 これから一気に工業化を推し進めようとするならば、まずは現代東アジアの新しい開発戦略、すなわち国際的生産ネットワークを積極利用する方向が打ち出されるべきだろう。その時に、本書が示した「内生的条件」は、どのように働きかけてくるのだろうか。

 まじめで誇り高い人々、深い歴史、これらは間違いなく美徳であるが、それによって工業化は加速されるのか、それとも遅れるのか。

 本書は、今後のミャンマーを考えるための出発点を提供してくれる。

(慶応義塾大学教授 木村福成)

[日本経済新聞朝刊2012年11月4日付]

ミャンマー経済の新しい光

著者:尾高 煌之助, 三重野 文晴.
出版:勁草書房
価格:3,675円(税込み)

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