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「弱くても勝てます」 高橋秀実著

開成野球、意表突く発想術

(新潮社・1300円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

伝統のエラー。そう書くと弱小チームの悲哀みたいだが、超の字もつく進学校、開成高校の野球部では、それすら肯定的にとらえる。

グラウンドでの練習は週1回の3時間に過ぎないのに東京都のベスト16にも進んだ。必勝セオリーの前提は「10点取られる」。だから15点を「ドサクサ」で一気に奪う。開成野球に9回はない。いつだってコールドゲームを狙う。

東京大学野球部出身の監督は合理をきわめつつ「ギャンブル」を仕掛ける。打順を線ではなく輪として考え、最強打者は2番にすえる。試合中、猛烈な守備練習が反映されるような打球は各選手にひとつあるかないか。「そのために少ない練習時間を割くわけにはいかない」。難しいゴロは「例外」と気にせず、理屈で導いた基本動作の届く範囲だけ処理する。

著者の対象との距離感が心地よい。平易にして端正な文章が、秀才君たちの個性を際立たせる。

「僕の場合は苦手ではないけど下手なんです」「油断はそこに付け入ることもできますが、なめられていいことはひとつもありません」「外野は涼しい」。青春の生きた言葉が楽しい。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2012年10月24日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー

著者:高橋 秀実.
出版:新潮社
価格:1,365円(税込み)

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