2019年7月21日(日)

実効性ある原発防災指針に

2012/10/10付
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原子力発電所の事故に備え、住民の避難など防災計画が必要になる地域が大幅に広がる。原子力規制委員会が、これまで原発から8~10キロメートル圏内だった対象区域を30キロ圏に広げる指針案を示した。

福島第1原発の事故を踏まえれば、区域の拡大は当然だ。ただ対象市町村がいまの45から135に膨らみ、地元には戸惑いも多い。重大事故を二度と起こしてはならないが、事故が起きても住民の命や健康を確実に守れるよう実効性のある防災対策が欠かせない。

市町村は指針に沿って来年3月までに防災計画をつくる。規制委はきめ細かな指針を示し、放射線監視の技術や情報を提供して計画づくりを支援すべきだ。日ごろから訓練を徹底し、対策を住民に周知することも大事だ。

指針案では、重大事故の恐れがあれば5キロ圏内で即時の避難、30キロ圏内では屋内退避や避難準備を求めるとした。50キロ圏では被曝(ひばく)を防ぐヨウ素剤を事前に配ることも盛った。

重要なのは地域の特性を考慮した対策づくりだ。放射性物質の広がり方は地形やその地域特有の風向きで左右され、原発から同じ距離でも避難の仕方は異なる。

規制委は事故が起きたら、放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディー)」の情報を提供するとした。事故後だけでなく防災計画づくりや訓練でもデータをもっと活用したらどうか。

緊急時に国や電力会社の拠点となる「オフサイトセンター」も同様だ。福島第1原発ではセンターが5キロしか離れておらず、役に立たなかった。国は全国20の施設の一部をより遠くに移す方針だが、場所を移せば機能するのか。

「平時に使わないものは非常時に使いこなせない」とは防災の鉄則である。平時から施設をどう活用するか、真剣に考えるべきだ。

規制委は「自治体の防災対策が整っていることが原発再稼働の条件になる」とした。まず規制委が指針を早くまとめ、自治体の対策づくりを後押ししてほしい。

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