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人と芸術とアンドロイド 石黒浩著

ものづくりと己を知ること

人間にそっくりなロボットを媒介とした、技術と芸術の本である。

本書は「芸術は技術の起源であり、日本が得意とするものづくりの源泉である」と記し、次に「芸術と技術の境界領域から発生する新たな技術分野の活動は常に欧米から始まり、日本はそれを単に受け入れるということを繰り返している」と指摘する。「常に」かどうかは別として、たしかにそんな側面がある。

ブランドづくりにしても「ヨーロッパでの評価」が先に立つ。「芸術はいわばコンセプトであり、それを実現するのが技術である」と著者は主張するが、そうなのだ。

技術的にはどうということがなくとも、アップルのスマートフォンはやはりすばらしい。コンセプトづくりの問題だ。

本書は繰り返して、人間とは、自分とは、と問いかける。そして「何かを作ることは結局のところ、自分を知るための行為であると思う」という。

評者にいわせると「仕事」も同様だと思う。強いられていると辛(つら)いが、自分なりの工夫や判断を加えていくと意味が変わる。

本質的な問いかけをすることの必要性を再認識させる本である。

★★★★

(福井県立大学地域経済研究所所長 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2012年10月10日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

人と芸術とアンドロイド: 私はなぜロボットを作るのか

著者:石黒浩.
出版:日本評論社
価格:1,575円(税込み)

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