2019年1月17日(木)

春秋

2012/10/6付
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人気アニメ「けいおん!」に登場する高校のモデルといわれる滋賀県豊郷町の旧豊郷小学校校舎。この旧校舎が有形文化財になるそうだ。1937年の完成当時、白亜の殿堂といわれた建物だ。私財を投じて建てたのは同町出身で丸紅専務を務めた古川鉄治郎である。

▼10年ほど前に豊郷を訪れた時、町はこの校舎を巡って揺れていた。当時の町長が老朽化を理由に校舎の解体を打ち出し、保存を求める住民と対立していたのだ。工事差し止めの仮処分決定が出ているのに町長は解体に着手し、住民側は校舎を封鎖して対抗した。その後、町長のリコール運動に発展し、町は保存に転じる。

▼それが結果的に幸いすることになる。軽音楽部に所属する女子高校生を描いたアニメ「けいおん!」の放送が始まったのはその後の話だ。図書館などとして使われているこの旧校舎をひと目見たいと、多くのアニメファンが訪れ、今やりっぱな観光資源だ。町も関連商品を売ったり、催しを開いたりして、応援している。

▼アニメにもしばしば登場するのだが、旧校舎の階段のてすりにはウサギとカメの像がある。子どものころは劣等生だったが、コツコツと努力して最後には故郷に錦を飾った古川の生涯を表しているのだそうだ。地域の歴史や文化を生かしながら着実に街づくりに取り組む。この大切さは豊郷に限った話ではないのだろう。

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