2019年2月22日(金)

官民の談合体質に切り込んだ「竹島公取委」

2012/10/1付
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公正取引委員会の竹島一彦委員長が退任した。2002年から2期10年にわたって競争政策を指揮し、産業界や官僚機構に根を張る談合体質に切り込んだ。「公取委はほえない番犬」という汚名を返上した功績を評価したい。

就任時、竹島氏は記者会見で「競争なくして成長なし」を旗印にすると語り、消費者に不必要な負担をさせてまで生き延びようとする企業経営者に厳しく対処する考えを示した。そのことば通り、05年、09年の2度の独占禁止法の改正で道具立てをととのえた。

特筆すべきは、05年の改正で違反企業への課徴金の引き上げと、違反行為をさっさと「自首」した企業への課徴金の減免制を取り入れた点だ。これが目を見張る効果をあげた。談合仲間を裏切る「自首のススメ」は日本の企業社会になじまないという下馬評は外れ、大型事件の摘発につながった。

10年5月の光ファイバーケーブル製品の価格カルテル(課徴金納付命令161億円)、12年1月の車用ワイヤハーネス見積もり合わせ(同129億円)などだ。

名古屋市営地下鉄や独立行政法人・旧緑資源機構を舞台にした、より悪質な官製談合には、刑事告発をためらわなかった。国土交通省、旧防衛施設庁、航空自衛隊、旧日本道路公団、さらに各自治体をふくめ、公取委が改善措置要求した発注側の行政機関も多い。

しかし「カルテルは企業経営にとって割の合わない愚行だ」「官製談合は税金泥棒だ」という意識の浸透は、まだ十分ではない。

最近も国交省と防衛省の官製談合が表面化した。産業界では自動車ヘッドランプや段ボール製品などの主要メーカーに公取委が立ち入り検査した。ベアリングの価格カルテルでは、大手メーカーの担当幹部らを刑事告発した。

一方、グローバル化で国境をまたぐ事件が増えている。各国間の情報交換を密にし、政策の枠組みを調和させるのが課題だ。車輸出船の輸送運賃をめぐる価格カルテル疑惑では、米司法省や欧州委員会との連携強化が鍵をにぎる。

さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)などが競争政策を導入する際の政策協力も大切だ。

競争政策をさらに推し進めるべきときなのに、野田政権は竹島氏の後任人事案を国会に示していない。怠慢といわざるを得ない。政権が成長戦略と消費者主権の確立を軽くみている表れであろう。

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