日中緊張が企業に迫るアジア戦略の厚み

2012/9/23付
保存
共有
印刷
その他

中国各地の反日デモや破壊活動は、中国事業の難しさを改めて示した。中国市場の開拓を続ける一方、中国以外にも生産や販売の拠点を広げリスクを分散する。そんな厚みのあるアジア戦略が企業に求められている。

経済産業省「海外事業活動基本調査」(2010年度)によれば、日本企業の海外現地法人全体の売上高に占める中国現法の割合は19%と、10年前の8%から急速に高まった。日産自動車やユニ・チャームなど、連結売上高に占める中国の割合が10%を超える企業も、今では珍しくない。

内需の低迷に悩む日本企業にとって、中国は成長の活路を求めることができる国だ。今後も日本が得意とする分野を中心に結びつきを強める必要がある。

例えばスマートフォン(高機能携帯電話)や自動車用の部品は日本製が競争力を持つ。そうした分野を中国市場でさらに伸ばせば、製品の組み立てに従事する中国人の雇用は増え、ビジネスの関係も深めることができる。

ただ、足元の中国経済は4~6月の国内総生産の伸びが実質7.6%にとどまるなど、減速の傾向がはっきりしてきた。反日運動が起きなかったとしても、日本企業はこれまでのような中国に傾斜した成長戦略は描きにくい。

まずは、中国景気の急減速に備えるべきだ。膨らみがちな在庫の管理など、経営の守りを固める必要がある。新規投資も中期的な市場開拓に役立つようなものに絞るなど、メリハリが重要だ。

そのうえで、アジアを中心にした新興国全体への業務展開を急ぎたい。

「今後10年はインドやロシアも成長するので、そちらにも軸足を広げたい」(新日本製鉄)といった意識の企業は増えている。ユニクロを運営するファーストリテイリングは中国に偏った生産の比率を落とすため、東南アジア各国での生産を増やしていく。出店戦略もアジア全域で考えるという。

デモで被害を受けた経験は、こうした汎アジア市場への展開を企業が急ぐきっかけになる。

中国の一部当局は日本から中国への輸出の通関検査を強化している。尖閣諸島国有化への報復と見られ、反日運動が長期化する懸念は高まっている。だからこそ今、経済や政治のリスクを分析し、中国を含めた厚みあるアジア戦略を企業は考え、実行すべきだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]