尖閣諸島の国有化を機に管理の強化を

2012/9/12付
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沖縄県の尖閣諸島を国が買い上げて国有化した。政府はこれを機に尖閣をしっかり管理し、領土の保全を徹底してもらいたい。

地権者から購入したのは同諸島のうち、魚釣島、北小島、南小島の3島だ。購入価格は20億5千万円で、予備費から支出する。国有化が実現したことを評価したい。

これまで政府は個人の地権者に賃料を払い、借り上げてきた。同諸島の安全を保ち、警備を徹底するには国が直接、保有したほうがよいに決まっている。

政府が国有化に動くきっかけになったのが、東京都の石原慎太郎知事が4月に打ち出した購入計画だった。石原知事は「東京が尖閣を守る」といった趣旨の発言をしていた。だが、都には尖閣やその領海を警備し、守る能力はない。石原知事も国の購入に同意しているとされるが、当然の対応だ。

購入のために都が募った寄付金は14億円を超える。一部の寄付者からは返還を求める声も出ている。都は政府と話し合い、寄付者が納得し、尖閣の保全にも役立つ方策を考えてほしい。

尖閣の領有権を主張する中国は、外務省が日本政府を批判する異例の長文声明を発表するなど、強く反発している。中国は何らかの対抗措置をとる方針も表明しているが、尖閣は日本の領土であり中国側に批判される理由はない。

しかも、政府が購入しなければ、対中強硬派で知られる石原知事の主導の下で、都が3つの島を保有することになっていた。それよりも政府が保有し、安定的に管理したほうが、日中関係の大局にも役立つ。政府はこの点について中国に重ねて主張してほしい。

尖閣の国有化は領土の保全のための手段であり、それ自体が目標ではない。今回の措置を踏まえて、尖閣の守りをさらに固めることが大切だ。石原知事は尖閣に漁船の退避施設などを建てるよう求めているとされる。一部の国会議員にも施設の建設や人員の常駐を主張する向きがある。

しかし、いくら尖閣に施設をつくったり、人員を配置したりしても、周辺の領海の守りが伴わなければ、実効支配の強化にはつながらず、中国を挑発するだけで終わってしまう。

まずやるべきなのは海上保安庁の体制を拡充し、領海の守りを固めることだ。中国軍の増強に対処するため、日米の安全保障協力もさらに強めなければならない。

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