竹島問題提訴を韓国の猛省促す機会に - 日本経済新聞
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竹島問題提訴を韓国の猛省促す機会に

政府は21日の関係閣僚会議で竹島(韓国名は独島)の領土問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴することを決め、共同付託に応じるよう求める口上書を韓国側に届けた。韓国が応じなければ、単独での提訴に踏み切るという。

日本が単独提訴しても強制力はなく、韓国側の同意が必要だ。韓国が拒否するのは確実で、裁判が実際に開かれる可能性はほとんどない。それでも、領土問題の存在を国際社会にアピールし、日本の主張を世界に広める意味で、有効な措置といえるだろう。

日本はかつて1954年と62年にICJへの付託を提案し、韓国が拒否した経緯がある。日本もその後は深入りしてこなかった。

ことを荒立てたのは韓国の李明博大統領だ。竹島に大統領として初めて足を踏み入れ、天皇陛下への「謝罪」要求発言までした。対日外交への配慮を欠いた無責任な言動で、日本も対処せざるを得ない政治環境を招いてしまった。

竹島の領有権は17世紀半ばまでに確立したというのが日本の主張だ。1905年には島根県への編入を閣議決定した。戦後の日本の領土を画定したサンフランシスコ講和条約でも、竹島は日本が放棄すべき地域に含まれていない。

対する韓国は52年、当時の李承晩政権が海洋境界線を設定し、竹島を一方的に取り込んだ。その後も警備隊員を常駐させるなどして「実効支配」を強めている。

日本としてはICJへの提訴にとどまらず、あらゆる機会を利用して領有権の正当性を内外に唱えていくべきだろう。超党派で結束し、領土問題の対応を真剣に議論していくことも大切だ。

ただ、韓国との対立をやみくもにあおるのは得策ではない。政府内では対抗措置として、日韓通貨協定の交換枠縮小や液化天然ガス(LNG)の共同調達の検討作業の凍結なども浮上している。経済分野まで広げて対抗措置を講じるのはいかがなものか。

日韓はともに主要な貿易相手国で、経済や安全保障分野で密接な協力が欠かせない。通貨交換枠の縮小にしても韓国の金融市場が混乱するようなことがあれば、日本にも悪影響が及ぶ。感情にまかせた過剰な反応は慎むべきだ。

中国はかつて尖閣諸島をめぐり日中対立が激化した際、レアアースの対日輸出を制限した。日本が似たような対応をすれば、責任ある大国としての信用をなくす。

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