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「いつか来た道」にならないために

あの暑い夏から67年目の終戦の日が巡ってきた。8月は死者と再会するお盆の季節でもある。戦禍を被ったすべての犠牲者に哀悼の意をささげたい。

世界をみると、経済の停滞による主要国の権益争いが激しさを増している。国内では二大政党の不毛な争いが続く。こうした状況は戦前に似ていなくもない。いつか来た道にならないためにも、歴史に学ぶ姿勢を大事にすべきだ。

大日本帝国はなぜ悲惨な戦争へと突き進んだのか。日清・日露の戦役に勝ち、傲慢になった軍は国力を過信し始める。追いつき追い越せの明治時代が終わった100年前がひとつの節目だったのではないか。

戦地を経験した人のほとんどは90歳を超えた。広島では被爆者の平均年齢は78歳だ。当事者の話をじかに聞くことができるのも残念ながらそう長いことではない。

証言の聞き取りや整理、新たな語り部の育成に国を挙げて取り組む必要がある。

平成も四半世紀近くになり、若い現代史研究者には昭和の記憶がない人も出てきた。歴史の風化を危惧するが、「昭和天皇の戦争責任」などのタブーにとらわれない議論が出てきて、研究の幅が広がった面もある。

加藤陽子著「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」、森山優著「日本はなぜ開戦に踏み切ったか」。学界ではここ数年、戦前の政治判断の検証が盛んだ。個別の研究の評価は別にして多角的な歴史再認識の動きは歓迎したい。

話題の小説「東京プリズン」(赤坂真理著)には女子高生が留学先の米国の高校の授業で「東京裁判」をテーマに「ディベート」をさせられる場面がある。歴史問題から目を背けがちな私たちに意外な視点を与える。

中韓との関係に配慮し、首相の靖国神社参拝は2007年以降見送られている。妥当な判断だが、そのままでよいわけではない。

2月まで日本遺族会会長だった自民党の古賀誠元幹事長は「すべての人がわだかまりなく参拝できる環境づくり」としてA級戦犯の分祀(ぶんし)を提唱する。

「東京裁判は戦勝国による報復」としつつも「当時の指導者の判断で約300万人の日本国民が亡くなった事実は重い」との考えからだ。分祀ですべてが解決するわけではないが、英霊を安んじる一つの道かもしれない。

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