安易に友達を増やすのはNG 交流サイトの注意点
懐かしい同級生と「つながる」ことも
SNSは友達関係や趣味の仲間など、社交的なつながりを親密にしてくれるサービスだ。この「社交的なつながり」が「ソーシャル・ネットワーキング」ということ。たいていは無料で利用できる。SNSの会員に向けた広告で収入があるからだ。自宅のパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)を使って利用している人が多い。
利用には仲間が必要になる。最初はすでにSNSを使っている人から仲間として認めてもらうといい。知っている友人や知人に対して、SNSの「友達にしてください」と申し込みもできる。懐かしい同級生を検索して「友達」にすることもできる。友達や仲間と認め合った人同士が増えると、おしゃべりなどメッセージの交換が楽しくなる。

代表的な日本のSNSには「ミクシィ」「グリー」「モバゲー」がある。米国では「フェイスブック」の利用者が多く、日本でも増えている。そのほか、有名人の自由な発言が読めることで人気がある「ツイッター」も緩い関係のSNSとして利用できる。最近注目されているホットなSNSは、スマホのアドレス帳から仲間を増やす「ライン」だ。
通勤電車の中や休憩時間など、周りに人がいても話ができる仲間がいなくて寂しいとき、SNSを開けば仲間からのメッセージが読める。自分からメッセージを発信すれば応答が期待できる。SNSは多くの人にとって欠かせないサービスになりつつある。

情報が広がる範囲に注意
利用する際は注意しなければならない点も多い。仲間うちだけと思ってこっそり誰かの悪口を書き込むと、仲間を通して本人に伝わってしまうことがある。酒の勢いでちょっと上司の悪口を言っただけなのに、次の日上司に話が漏れていた、というケースもある。友達の友達が上司につながっていたのだ。
気心が知れた仲間といつでもつながることができて楽しい半面、いくら仲がよくてもどこまで話していいか、情報が広がる範囲に配慮する必要がある。
SNSでは「友達の友達を自分の友達にする」という仕組みで気安く仲間が増やせる。でも安易に増やすと、思わぬことにもなりかねない。
例えば、ある日見知らぬ人から、最寄りの駅で名前を呼びかけられて驚いたという人がいる。近所のお気に入りの店や通勤風景を発信していたら、その情報から本人が判別できたらしい。ストーカーだったら怖い話だ。
疑う心も大切に
見知らぬ人はトラブルのタネになりやすい。すてきな印象の写真付きで「友達にしてください」という申し込みが来て、見た目の印象だけで「友達」として認めたら、利用価値があるかどうかわからない商品を勧められることもある。SNSで商品を売り込む業者も増えている。交友関係を広げるときは「この人は信頼できるか」と疑う心も大切にしよう。

頻繁にSNSをチェックしている人もいる。家庭でも妻がSNSに夢中になって夫と疎遠になったり、夫がSNSに夢中で家事や育児を妻に押しつけたままだったりという話も聞く。現実の人間関係よりもSNSの人間関係が大切に思えたら、現実の生活に赤信号がともっていると考えたほうがいい。
職務上の秘密をSNSに漏らす例も出てきている。芸能プロダクションからのスカウトと称して、10代の子どもを犯罪に巻き込む事件もある。
問題点もきちんと把握しながら、SNSを上手に使いこなしたい。
(テクニカルライター 佐藤信正)
[日経プラスワン2012年8月4日付]
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