2019年8月20日(火)

北方領土交渉の厳しい現実

2012/7/31付
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北方領土問題をめぐる立場の違いが、改めて浮き彫りになったといえる。ロシアのソチで先週末に開いた玄葉光一郎外相とラブロフ外相による日ロ外相会談だ。

玄葉外相は会談で、メドベージェフ首相が7月初めに国後島を再訪したことに遺憾の意を示した。しかし、ラブロフ外相は今後も政府要人の訪問を続けるとし、むしろ日本側の抗議が対話の雰囲気づくりを妨げると反論した。

両国は「法と正義の原則」に基づいて交渉を進める構えだが、その解釈も日ロ間で大きく異なる。ラブロフ外相は北方四島の自国への帰属を「第2次世界大戦の結果だ」とし、それこそが法と正義の原則と主張した。日本からすれば全く受け入れられない発言だ。

玄葉外相はプーチン大統領とも会談した。大統領は「互いに受け入れ可能な解決策を探るべく、交渉を継続したい」と述べるにとどめ、腹の内を明かさなかった。

成果といえば、首脳、外相、次官級の各レベルで協議を続けることで一致したことだ。対話を進め信頼関係を醸成しなければ、交渉は前進しない。今後も首脳間を中心に対話を模索していくべきだ。

それだけでは足りない。日本はどのような戦略で対ロ外交を進めていくのか。経済や安全保障協力のあり方も踏まえつつ、領土交渉そのもののアプローチの仕方を練り直していく必要がある。

ロシアは政権基盤が弱まっている野田政権の足元を見透かし、本格的な交渉を進める時機ではないと考えているフシもある。

折から野田政権は政府特使として、プーチン大統領と親しい自民党の森喜朗元首相の訪ロを準備している。北方領土問題はどの政権にとっても大きな懸案となる。そろそろ超党派で真剣にとり組んでいく必要もあるのではないか。

北方領土の択捉島では、来年には新空港が開港する。色丹島にも保養施設をつくる構想が浮上している。手をこまぬいていれば、北方領土のロシア化に歯止めがかからなくなってしまう。

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