2018年11月21日(水)

中古住宅の取引活性化は待ったなしだ

2012/7/31付
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国土交通省は中古住宅の性能を評価して認定する制度の検討を始めた。耐震性などについて既存住宅にお墨付きを与え、中古物件の取引を活性化させる狙いだ。

日本ではすでに住宅の総戸数が総世帯数を大幅に上回り、8戸に1戸は空き家になっている。総人口に続いて世帯数もまもなく減少に転じる。住宅は余剰時代に入ったといっていいのだろう。

日本ではこれまで新築住宅を重視する傾向が強かった。住宅取引に占める中古物件の割合をみても2008年で13.5%と、欧米の6分の1程度の水準だ。

住宅を購入する際には多額の住宅ローンを背負うが、ローンを完済するころには家屋部分の資産価値はほとんどなくなる場合が多い。取り壊すまでの期間も欧米より短く、大量の建築廃棄物を発生させている。

政府はこうした住宅市場を変えようと、20年までに中古住宅の流通を倍増させる目標を掲げている。その一環で国交省が検討しているのが長期優良住宅の中古住宅版といえる今回の制度だ。

長期優良住宅とは耐震性や省エネ性に優れ、間取りの変更や維持管理もしやすい物件だ。国が定めた基準を満たす新築住宅を自治体が認定している。

3年前に制度が始まり、これまでに全国で29万戸を認定した。国交省は13年度にも中古住宅について同様の制度を始める考えだ。

中古住宅の評価は現在、築年数や立地が中心だ。建物の性能がしっかりと表示されれば、適正な価格で安心して取引しやすくなるだろう。若い世代を中心に所得が伸び悩むなか、安価で多様な住宅を提供することは重要だ。

中古住宅の取引を増やすためには健全なリフォーム市場の育成も欠かせない。現状ではリフォームに関する情報は限られ、トラブルが多い。住宅投資に占めるリフォーム投資の割合が3割弱と欧米より低いのも、日本の住宅市場の特徴になっている。

トラブルを減らすためには施工後に問題が発覚したら、業者がしっかりと保証する制度が要る。第三者が建物を客観的に検査する仕組みを広げる必要もある。

全国各地で現在、倒壊するおそれがある空き家が放置されたり、そこにごみが不法投棄されたりして社会問題になっている。中古住宅の取引がしやすくなれば、空き家問題にも役立つだろう。

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