2019年1月23日(水)

安易すぎる参院の定数是正

2012/7/29付
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びほう策と言うしかない。参院の1票の格差を是正するための「4増4減」案のことである。

参院選挙制度協議会で、自民党は民主党が提案した「4増4減」案に賛成する方針を示した。二大政党の足並みがそろったことで、今国会での法案成立が確実となり、2013年の次期参院選から適用される見通しだ。

4増4減は定数6(改選定数3)の神奈川、大阪両選挙区の定数を2ずつ増やし、定数4(同2)の福島、岐阜両選挙区を2ずつ減らすというものだ。

これにより10年国勢調査に基づく1票の格差は、鳥取、兵庫両選挙区間の4.75倍が最大になる。現行の最大格差5.12倍からわずかに縮むだけだ。

高裁段階では最大格差が5倍だった10年参院選を違憲とする判決も出ている。今回の措置は最大格差が5倍を下回るようにする緊急避難でしかない。

07年参院選で最大4.86倍あった1票の格差をめぐり、09年の最高裁判決は合憲としつつも、格差是正のために現行の選挙制度を見直す必要性を指摘していた。

西岡武夫参院議長の時代には、議長自ら旗を振り、全国を複数のブロックに分けて、格差を大幅に縮小する案を提示した。結局、各党の利害が絡み、合意には至らなかった。西岡氏の死去で議長が交代してからは、抜本改革の機運は急速にしぼんでしまった。

公明党が選挙制度の抜本改革を求めていることから、公職選挙法改正案の付則に「16年参院選に向け引き続き検討する」との文言を盛り込む方向だ。だが、単に問題を先送りしたとしか思えない。

衆院では違憲状態を解消するための「0増5減」案の成立のめどすら立たない。1票の格差問題での国会の怠慢は目に余る。

国会が自分たちの手で必要な改革を実施できないなら、有識者にゆだねて、定数削減問題を含めて衆参両院のあるべき選挙制度を探るしかあるまい。国会は不明を恥じるべきである。

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