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やっつけ仕事の「国民的議論」は残念だ

これからのエネルギーと環境の基本政策を話し合う政府主催の「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」の初会合が14日、さいたま市で開かれた。

2030年に向けたエネルギー戦略の決定にあたり政府が約束した「国民的議論」のキックオフと位置付けられる。エネルギーについて国民が抱く様々な懸念を表明する機会だ。政府は多様な声に真摯に耳を傾けたうえ、最終的には政府の責任で決断を下すべきだ。

初回の聴取会は9人が傾聴に値する意見を述べた。数のうえでは「国民的」にほど遠いのは残念だ。開催の周知も不十分だった。きょうの仙台市を含め、この後、およそ1カ月間に全国で10回開くというが、より多くの声が聞けるよう運営方法を改善できないか。

8月上旬には「討論型世論調査」と呼ぶ新しい試みを予定する。全国から200~300人の参加者を募り、東京都内で泊まりがけでエネルギー政策についてグループ討論をしてもらう。意見の異なる人たちが議論を重ねて問題の理解を深めるのが目的で、意見集約が狙いではないという。

うまく運営すれば国民の意見をより深く知るのに役立つ可能性がある。そのためには討論に使うデータや司会役の人選が重要だ。主催側が意見を誘導したと受けとられないよう注意が要る。また、この結果をどう使うのか、政府は事前に明確にしておくべきだ。結果がそのまま政策に反映されるとの誤解があってはいけない。

聴取会や討論型世論調査は短期間のやっつけ仕事の感が否めない。国民的議論というなら、時間をかけ全国各地で開催を重ねて意見を聞くのが筋だ。

今の日本はエネルギー政策が定まらず安全保障面で脆弱な状態にある。政策決定を遅らせたくはないが、国民の意見表明の場はもっとあっていい。経済団体がエネルギー安定供給の立場から原子力発電の必要論を唱える一方で、首相官邸前のデモは廃炉を求める。政府が耳を傾けるべき場は官製の公聴会の場だけに限らない。

意見を述べる側にも注文したい。原発の必要論者なら地震国の日本でどう安全に運転できるか、不要論者なら脱原発後の代替エネルギーをどうするか、少なくともこの2点くらいは考えを具体的に示す必要があるだろう。原子力への賛成と反対の二項対立を超えた議論を期待したい。

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