2018年2月19日(月)

春秋

2012/7/8付
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 来日した国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は10代のころ、シンクロナイズドスイミングの選手だった。フランスの全国大会でメダルまで取ったそうだ。「歯を食いしばってニッコリ笑うこと」。人生の指針を、厳しい訓練から学んだという。

▼シンクロの演技の美しさは、一糸乱れぬ動きにある。練習ではチーム全員の呼吸が完全に合うまで、潜っては浮かび、浮かんでは潜る。水面の上では涼しげな笑顔を絶やさないが、水の中では、切ないほどに激しく手足を動かしている。徹底した自己管理の力と、協調の精神が要るスポーツだ。その戦いは今も続いている。

▼金融危機の嵐の中にいるユーロ圏の国々や、欧州中央銀行(ECB)との息は、どれほど合っているだろう。ラガルド専務理事は「困っている国の国債を買い支えるのが賢いやり方だ」とほのめかしたが、ECBはその勧めには従わず、金利を1段階下げただけだった。観客席から見るかぎり一糸乱れぬ演技とはいえない。

▼とはいえ、のんきに構えてはいられない。日本はIMFの大スポンサー。ユーロ騒動が起きた後も、新たな資金拠出を真っ先に決めた。観客でも応援団でもなく、実はラガルドチームの一員なのだ。「日本の気前のよい支援に感謝します」。ニッコリ笑ってそう言われれば悪い気はしないが、お客さん扱いされるのは困る。

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