2019年1月24日(木)

北方領土のロシア化を止めよ

2012/7/5付
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ロシアのメドベージェフ首相が複数の閣僚を引き連れ、北方領土の国後島を再訪した。

野田佳彦首相とプーチン大統領は先月の初会談で、領土交渉を再び活性化することで合意したばかりだ。これから本格交渉に乗り出そうという矢先に、ロシアの首相や閣僚が大挙して北方領土入りした。はなはだ遺憾である。

メドベージェフ氏は大統領時代の2010年11月、国家元首として初めて国後島を訪れ、日ロ関係を大きく悪化させた。今回はインフラ整備の状況視察が目的だったというが、現地では「(北方領土は)一寸たりとも渡さない」と述べたという。日本を意識した訪問だったことは疑いない。

プーチン大統領はかねて領土問題の決着に意欲を示していた。こんどの首相らの訪問にどこまで関与したかは不明だが、真に決着を望んでいるのであれば、日本の国民感情を逆なでするような行為は慎むよう説得すべきだった。

しかも大統領は2001年、当時の森喜朗首相との間でイルクーツク声明に合意している。

声明は平和条約締結後の歯舞、色丹両島の日本への引き渡しを定めた1956年の日ソ共同宣言を交渉の出発点とし、国後、択捉も含めた四島の帰属問題を解決する方針を確認した。プーチン政権は改めて、四島の帰属がなお未解決であることを認識すべきだ。

ロシア首相らの国後訪問が領土交渉に水を差したことは確かだ。だが、感情的に反目したままでは交渉は一向に前に進まない。

日本としては、ロシアによる北方領土の実効支配が進む厳しい現実も直視すべきだろう。現地では連邦政府主導でインフラ整備が進み、択捉島の岸壁工事には韓国企業も参加しているという。

手をこまぬいていれば、北方領土の「ロシア化」を食い止める余地はどんどん狭まってくる。領土交渉はなにより、政治的な指導力が求められる。首脳や外相レベルの交渉を重ね、本気になって打開策を模索すべき時である。

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