2019年6月18日(火)

市場の公正を損ねた野村証券

2012/6/30付
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野村ホールディングスは傘下の野村証券が未公表の増資情報を顧客に伝え、インサイダー取引を誘発した問題の処分を発表した。グループ最高経営責任者らの報酬をカットし、情報を顧客に漏らした機関投資家向け部署などの営業を自粛する。

企業の資金調達の情報は市場への影響が大きいため、厳格に管理する必要がある。大手証券がその規律を破った責任は重い。当局に命じられる前に営業を控えるといった厳しい対応は、当然だ。

さらに野村は再発防止策として情報管理を徹底するための専門部署の設置や、社員間の情報伝達の制限などを発表した。

今回発表された処分や再発防止策は、弁護士で構成する調査委員会の報告に基づいたものだ。報告書では機関投資家に株式売買を勧める営業担当者が、未公開の増資情報を社内で積極的に収集する実態が明らかにされた。

増資を実施する企業の具体的な名前を伏せたまま、それを示唆する情報を社内や顧客との間でやりとりする慣行があったことも明らかにされた。

社名が分かってしまうような間接情報は、やはり広義のインサイダー情報と考えるべきなのだろう。そうした慎重な姿勢が野村には欠けていたのだ。

日本企業の増資は2009年に4兆9000億円とバブル期並みに多く、翌10年も3兆3000億円と高水準だった。この時期の野村は投資家への販売力の強さを武器に、大型の増資を次々と引き受けていった。

企業の資金需要には対応できたが、情報管理や法令順守は後手に回り、結果として株式市場の公正さは損なわれた。

空前の増資ラッシュのなかで、最大手の証券会社に慢心やタガの緩みはなかったか。証券取引等監視委員会による増資インサイダーの調査は今も続く。他の証券会社も含め情報管理の体制や営業の手法を改めて見直し、株式市場の信頼を取り戻してほしい。

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