2019年6月25日(火)

整備新幹線で大盤振る舞いするときか

2012/6/30付
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国土交通省は29日、整備新幹線の3区間の着工を認可した。消費増税法案が衆院を通過した直後である。こんな時期に総事業費が3兆円を超す大型公共事業を認めるという民主党政権の対応は理解に苦しむ。

認可したのは北海道新幹線の新函館―札幌間、北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州新幹線長崎ルートの諫早―長崎間の3区間だ。総事業費の7割を国と沿線の自治体が負担し、残りはJR各社が鉄道建設機構に納める線路の使用料を充てる計画だ。

九州が10年後、北陸が13年後、北海道が23年後の完成を予定している。それぞれの地域にとっては朗報だろうが、事業の採算性やその効果には疑問が残る。

まず、需要予測が甘いのではないか。国土交通省の審議会が実施した試算では、今後競争が激しくなるとみられる格安航空会社の動向を考慮していない。新幹線とほぼ並行して走る高速道路の車線数を増やす地域もある。

国交省は3区間のいずれも費用より時間短縮などの効果が上回るとみている。しかし、事業費が少しでも膨らめば逆転するような水準だ。当初、2兆7500億円だった総事業費はすでに、3000億円程度増えている。

今回の各区間の工期はこれまでの類似事業に比べて長い。国交省は「1年ごとの支出額を抑えるため」と説明している。そうまでしてなぜ、3つの区間を同時に始める必要があるのかわからない。

民主党政権はこれまで公共事業予算を削減し、様々な大型事業を凍結してきた。しかし、4月に高速道路の建設再開を認めたことに続く、整備新幹線の新規着工だ。「コンクリートから人へ」という理念を捨て、ばらまき政策に転換したと判断せざるを得ない。

今後、老朽化したインフラの維持・更新費が膨らむだけに、新規に着手する事業は徹底的に絞り込む必要がある。整備新幹線は優先度が高い事業とは言い難い。

おかしいのは民主党だけではない。自民党も10年間で200兆円の投資を見込む国土強靱(じん)化基本法案を今国会に提出している。災害に強い国土づくりを掲げているが、その内容をみると旧来型の公共事業が並んでいる。

国民に増税への理解を求めなければならない今、こんなありさまでいいのか。公共事業費を抑える手綱を緩めてはならない。

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