電力株主総会、自治体発言相次ぐ
東電に都がリストラ迫る 関電、橋下市長と応酬

2012/6/28付
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東京都や大阪市など、自治体株主の提案が注目された今年の電力会社の株主総会。「脱原発」や経営の透明性確保を求める株主提案は否決されたが、東京電力や関西電力では5時間を超える長時間総会となり、今後の原発戦略や経営姿勢などを問う、株主の発言が相次いだ。

記者の質問に答える東京都の猪瀬副知事(27日、東京都渋谷区)

実質国有化に向け、定款変更を可決した東電の総会では、個人投資家を中心とする株主から株式の価値が薄まることに不満が何度も出た。経営陣はその度「ご迷惑をおかけする。ご理解を賜りたい」(西沢俊夫社長)と繰り返した。

謝罪を求める声も上がった。勝俣恒久会長は「非常に厳しい財務基盤になってしまったこと、信用を失ったことについて、この10年、社長・会長をしてきた者としての責任は重い。大変申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

筆頭株主の東京都は、経営の透明化や一段の資産リストラを求めた。猪瀬直樹副知事は「東京電力病院」を俎上(そじょう)に載せ「公的資金を受けながら、社員だけを診療する病院を運営するのはとんでもない」と詰め寄った。

東電側は山崎雅男副社長が「都から一般への開放は難しいと言われてきた。総合特別事業計画でも継続を盛り込んでいる」と反論。しかしその後、勝俣会長が引き取って「今後の検討課題」とした。

総会は5時間を超えたが、原発事故の収束もはっきりしなかった昨年の総会に比べ、経営再建への道筋がある程度固まったなかでの今年は、緊迫した雰囲気がやや薄れた面もあった。

出席株主は昨年の半分以下の4471人。約1万2000人を収容できる国立代々木競技場第1体育館を会場としたが、2階には空席も目立った。午後に入ると途中退出も多かった。

大阪市北区の梅田芸術劇場で開かれた関電の総会。議事が株主との質疑に移った午前11時半ごろ、議長の森詳介会長が3人目の質問者として2階バルコニー席の橋下徹大阪市長を指名すると会場に拍手が響いた。

「関電はこのままではつぶれてしまうのではないか。原発依存度ゼロの国の流れになった時どう対応するのか」。厳しい口調の橋下市長。「時代の転換点であることを念頭に、新しいエネルギー供給体制を目指してほしい」と迫った。

関電は岩根茂樹副社長が「原発全11基が止まると年間約9000億円の代替コストが発生する。相当の原発が再稼働しないと持続的経営は難しい」と再稼働の必要性を説明した。

総会では大阪市と連携して株主提案をした京都市の門川大作市長、神戸市の矢田立郎市長も質問に立ち、原発に依存しない電力供給体制の構築を要求した。出席株主数は3842人と過去最多だった昨年の2244人から約7割増え、関心の高まりをうかがわせた。

大阪市が求めた「脱原発」方針の定款記載など計28件の株主提案は全て否決された。総会後の記者会見で、八木誠社長は「原子力は今後も重要な電源」と繰り返し「脱原発は絶対にありません」と言い切った。

橋下市長は同日夕「(否決は)株主の判断だから仕方がない。あとは(賛成・反対の)数がどうなっているかですね」と話した。

関電によると大阪市の「脱原発」提案への賛成率(速報値)は約17%。東電や関電以外の総会でも、会社提案がすべて可決され、株主提案は否決された。

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