これで検察は再生できるか

2012/6/28付
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民主党の小沢一郎元代表が強制起訴された陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書問題で、刑事告発されていた元東京地検特捜部検事について、最高検が嫌疑不十分として不起訴処分にした。法務省は国家公務員法にもとづく減給処分を科し、この検事は辞職した。

検察が自らの捜査で起訴できなかった容疑者について、ニセの証拠で検察審査会を誘導し、強制起訴させたのではないか。そんな疑念を抱かせる深刻な問題である。不起訴と辞職で一段落とはいかない。組織全体の危機と受け止め、再発防止に取り組むべきだ。

陸山会事件で東京地検は小沢氏の起訴を見送った。だが検察審が「起訴相当」と議決したため再捜査した。この際に小沢氏の元秘書、石川知裕衆院議員を再聴取した検事が、同議員が小沢氏の関与を認めた理由を述べた部分などで実際にはなかったやり取りを捜査報告書に記載した。虚偽の報告書は検察審に提出され、小沢氏起訴の根拠になったとされる。

辞職した検事は「勾留中に話したことと記憶が混同した」と説明し、最高検は「思い違いの可能性が否定できない」と判断したという。だが小沢氏の裁判で東京地裁が「信用できない」と断じたように、この説明は納得しがたい。

検察審査会は検察の起訴権限の行使が適切かどうかを市民感覚でチェックする重要な役割を担っている。その検察審の判断が、検察の提出する誤った証拠に左右されてしまうとすれば、制度の根幹を揺るがす大問題である。

ロッキード事件やリクルート事件など、政財界にはびこる構造的な犯罪を摘発したかつての検察の姿は今はない。恣意的な捜査や証拠品改ざんという信じられない行為で、積み上げてきた歴史を自ら汚し、おとしめてしまった。

検察を見る国民の目はかつてないほど厳しい。強引な取り調べの排除など、相次ぐ不祥事を受けて打ち出した再生に向けた取り組みを突き詰めていくこと以外、信頼を取り戻す道はない。

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