貿易赤字が日本に促す改革

2012/4/20付
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 日本経済の稼ぐ力が問われている。この統計が物語る現実を重く受け止めざるを得ない。

 モノの取引状況を示す貿易収支(通関ベース)が、2011年度に過去最大の赤字となった。東日本大震災や原子力発電所の事故などが響き、輸出の減少と輸入の増加が重なった結果だ。

 海外経済の改善を追い風に足元の輸出は持ち直しつつあり、いずれ貿易黒字に戻るとの見方は多い。だが円高で製造業の海外移転が進み、輸出が構造的に伸びにくくなっているのは間違いない。

 原発再稼働のめどが立たず、火力発電に使う液化天然ガスなどの輸入が恒常的に増える可能性もある。貿易赤字は一時的な現象と軽視せず、この機会に日本の成長モデルを再構築すべきだ。

 まずは輸出競争力の強化である。自動車や電機をはじめとする主力産業は、付加価値の高い製品の売り込みや新興国市場の開拓に全力を挙げなければならない。その活動を法人減税や自由貿易で支えるのが政府の役割だろう。

 対外投資で稼ぐ戦略も欠かせない。日本の貿易黒字はもともと縮小する傾向にあり、海外からの配当や利子を含む所得収支の黒字の方が大きくなっている。

 ただ直接投資よりも証券投資の黒字が多く、米国や英国に比べて収益率が低い。対外投資の果実をできるだけ増やし、それを国内に還流させる必要がある。

 貿易赤字がこのまま定着すれば、海外との総合的な取引状況を表す経常収支の黒字が縮小しやすくなる。貯蓄を取り崩して消費に回す高齢者が今後増えることもあって、10年代にも赤字に転じるとの予測が増えているようだ。

 日本が経常赤字に陥れば、より多くの海外資金に頼らざるを得なくなる。国債の9割以上を国内資金で消化するのも難しくなるかもしれない。そうした事態に備えるため、財政運営への信認を維持しておくことが重要だ。その一歩を踏み出す消費増税関連法案をたなざらしにしてはならない。

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