2019年9月17日(火)

AIJ受託資産1458億円、残余は90億円 浅川社長ら証人喚問
監査偽造も認める

2012/4/14付
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衆院財務金融委員会は13日、AIJ投資顧問による年金消失問題で同社の浅川和彦社長(59)らを証人喚問した。同社が企業年金などから受託した1458億円のうち残余資産が90億円程度にとどまることが判明した。同社長は虚偽運用を認めたうえで、顧客に渡した監査報告書の偽造を主導したと語った。企業年金への営業を担当したアイティーエム証券の西村秀昭社長は自主廃業する考えを示した。

浅川社長

(簿価の)5%くらいになっていると思う。7億円くらいか。

AIJが受託した資金はどのくらい残っているのか。金融当局の検査で81億円の現預金が確認された。焦点は年金資金の一部を振り向けた投資ファンドに残る簿価149億円の資産の価値だ。

浅川社長は資産の内訳としてグループ会社のアイティーエム証券の株式、新株予約権付社債、投資ファンドなどを挙げた。そのうえで現在の価値は簿価の5%程度まで目減りしていると認めた。年金基金に戻すことができる残余資産は90億円程度にとどまる。

(虚偽運用は)事実だ。監査報告書の偽造は私が主導した。

嘘の答弁をすれば偽証罪に問われる証人喚問。浅川社長は顧客の勧誘時に水増しした数字を使ったことを認め、自らに責任があるとした。AIJの取締役の一人で証人喚問を欠席した高橋成子氏は「取締役とは名ばかりで事務をしていたにすぎない」と説明した。

証人喚問では、AIJが大口顧客だったアドバンテストの企業年金から監査報告書の開示を求められていたことが明らかになった。「監査報告書は本物だったのか」と問われた浅川社長は、「水増しした資産評価で作った。私が主導してやった」と述べ、監査報告書の改ざんにも自分が関与したことを認めた。

「転売スキーム」というつもりではやっていない。結果としてそうなった。だましてお金を取る目的でやったわけではない。

浅川社長は詐欺罪に問われるのか。ポイントになるのが、転売スキームだ。AIJは年金基金と投資一任契約を結んでいた。新たに預かった資金を契約に基づいて運用せず、解約した基金にそのまま転売し、返戻金に充てたとすれば「運用」とはいえない。浅川社長は詐欺の犯意はなかったと再三にわたって釈明した。

西村社長

証券会社の責務を果たしていないと言われても仕方ない。

営業を担当したアイティーエム証券の西村社長はAIJの虚偽運用を「認識していなかった」と繰り返し、嘘をついて顧客を勧誘していたとの疑惑を否定した。

ただ、海外から同証券あてに届いた監査報告書を開封せずに浅川社長に渡していたことは顧客への裏切り行為だったと認めた。浅川社長の表情に苦悩するところがなく、虚偽運用を見抜けなかったと釈明した。同証券の収入はAIJに依存しており、自主廃業する意向を表明した。

石山氏

(投資助言業に)該当すると思わなかった。

証人喚問では、旧社会保険庁OBの石山勲氏が代表を務める年金コンサルティング会社、「東京年金経済研究所」とAIJの蜜月ぶりが浮き彫りになった。石山氏は自らを「AIJの被害者」と語ってきたが、同氏の会社は経費処理や給与の支払い、納税などをAIJに任せており、実質的に丸抱え状態だった。

石山氏の会社はAIJとコンサル契約を結ぶ一方、年金基金側とも契約していた。石山氏を通じてAIJに資産運用を委託した年金基金も多い。同氏は顧客に資産運用の助言をするために必要な金融商品取引法上の「投資助言業」に登録していない。同氏は無登録の認識はなかったと答えるにとどめた。

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