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春を感じるなあ、などと腕を組む柄でもないのだが、快晴なのにうっすら霞(かす)んだ空を見上げて春を思うことはある。寒かった

春を感じるなあ、などと腕を組む柄でもないのだが、快晴なのにうっすら霞(かす)んだ空を見上げて春を思うことはある。寒かった日々の後ずさりにあわせるように、彼岸に入り遠くの山々も星も裸の身をさらすような冬の姿とは違ってきた。

▼が、ことしは冬の澄んだ空が続いてほしい。そうないものねだりをしたくなる。天体現象にとって特別の当たり年だからである。大部分が月に隠れた太陽の縁だけが輝く金環食が5月21日、ほくろのような黒い点が太陽を横切る「金星の日面通過」が6月6日、そして金星が月の裏に消える金星食が8月14日……。

▼派手なのは金環食だろうが、まれなのは金星の日面通過だそうだ。珍しい周期があって、前回は2004年だったが前の前は130年も前。次は105年後というから、どう頑張ったところで3度は目にできない。こうした現象はどれも星1つの輝きでなく、地球も含め3つの星がからむからこその神秘であろう。

▼神秘に触れる感覚は説きがたい。そう思っていたらぴったりの一節があった。「ほんのときたま、めぐってくる、こういうひとときが、つまり人生ということなのね。何だかわからない、連なり合って動くものの中で、自分の存在が確かめられる妙なときがあるのよ」(大庭みな子「モーツァルトの金星蝕」)

(12・3・21)

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