2018年10月22日(月)

春秋

2012/3/18付
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「素人なんて邪魔なだけとかよく言うじゃないですか」。実際に東北に来るまで、そんなためらいがあったと学生が口々に語る。被災地のボランティアを描いた吉本涼さん(23)のドキュメンタリー映画「手のなかの武器」の一場面だ。

▼登場人物たちと違い、ためらった末に行くのをやめた人も多いのではないか。作品は地元の声も紹介する。「本当に助かる」と中年男性。夜に騒ぐのも「それで元気が出るならいい。被災者と一緒に沈んでは逆に駄目」と若い被災者。役立ちたい若者と求める被災者。思いがすれ違い、支援が減り、復興が遅れる。

▼米ルイジアナ州の災害復興で起業家が果たす役割を先月書いた。もう一つの立役者がボランティアだ。登録窓口をネットに設けメールで現状や要望を伝え続ける。感謝状のひな型も用意し、被災者が謝意を伝えやすくした。7年前のハリケーン災害時、受け入れ側の不備で混乱した反省から仕組みを整えたそうだ。

▼こうした工夫が後に起きた自然災害や重油流出事故でも役だったと、震災1年を機に今月来日した現地ボランティア組織の幹部が経験を説いて回る。東北の再建。いずれ他の地域を襲うかもしれない大規模な災害。列島から集まる善意の若い力を、いかにうまく生かしていくか。いまが工夫のしどきだ。

(12・3・18)

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