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半導体製造装置、生き残る道は?

東京エレクトロン社長 竹中博司氏に聞く

そこが知りたい

日本の半導体業界が苦境に陥っている。日の丸半導体を支えてきた装置メーカーは、国際競争力を維持できるのか。主力の装置を日本でのみ生産している東京エレクトロンは昨秋、新工場を宮城県で稼働させたばかり。円高が続く中、なぜ国内生産にこだわるのか。装置メーカーが生き残る道を竹中博司社長に聞いた。

――エルピーダメモリが経営破綻に追い込まれた。

DRAMメーカーは6~7社も市場にひしめき、健全な状態ではない。歴史的な円高など6重苦と言われる状況を乗り越え、勝ち残るための条件は厳しい。製造装置も同じだが、ある1分野でトップシェアか、2位でも30~40%のシェアがないと生き残れない。過当競争になり需給バランスが崩れるためだ」

――東京エレクトロンが国内生産にこだわる理由は。

「装置は性能面での違いを出せなければ競争に勝てない。コストを下げる努力はもちろん必要だが、いかに他社と違う製品を開発し、技術をブラックボックス化できるかが勝負だ」

「日本の部材メーカーは世界一優秀だ。我々の装置作りも日本のサプライヤーに支えてきてもらった。国境線がなくなった半導体の世界で当社が負ければ、サプライヤーも負けてしまう。東京エレクトロンの海外売上高比率は80%を超えており、当社が勝つことが日本の半導体産業を守ることにもつながる」

――新工場を宮城県に建設した狙いは。

「東北地方には半導体関連産業が集積している。この地域で工場を稼働させ雇用を守り、世界一の半導体装置メーカーを目指す。それが震災復興にも貢献できることだと信じている」

――日本で装置をつくる意義は薄れたのでは。

「半導体の製造技術の開発は日本にこだわっていない。海外の主要顧客の近くに拠点を作っており、今後も拡大していこうと思っている。ただ装置として形にする時には、開発から製造まで一貫した体制が必要だ。日本には先端技術を研究する大学などの機関、部材を供給してくれるサプライヤーがそろっている。勝ち残るために最も重要な技術革新の解がここにある」

「新工場建設では宮城県の招致活動が積極的で、産学官のトライアングル連携にも期待した。例えば磁性体を使った次世代メモリーでは東北大の研究は世界の最先端にある。世界中の半導体メーカーが東北詣でをしている」

――2012年度の半導体装置市場をどうみるか。

「11年度比で10%程度減少しそうだが、今が底だ。次世代型のスマートフォンなどが登場し、半導体の先端製品が投入される9~10月ごろに装置需要は回復すると思う」

 1984年慶大工卒、東京エレクトロン入社。09年社長。10年から最高経営責任者(CEO)を兼務。51歳。

<聞き手から一言>高シェア維持へスピードが課題

エルピーダメモリの経営破綻は日本の半導体メーカーの地盤沈下を改めて印象づけた。一方で、日本の装置や材料メーカーは高い世界シェアを持ち、米インテルや韓国サムスン電子などトップ企業にとり不可欠な存在であり続けている。

東京エレクトロンの2010年度の売上高は6687億円で世界3位の規模。研究開発に毎年700億~800億円を投じ、数百人の技術者を半導体大手に送り込む。ただ、世界首位の米アプライドマテリアルズはM&A(合併・買収)を駆使し企業価値を高めている。成長のスピードをどう上げるかが課題だ。

(指宿伸一郎)

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