2019年8月22日(木)

失業手当が順次期限切れ 被災地女性「職がない」
建設関連は人手不足 希望と求人にズレ

2012/1/31付
保存
共有
印刷
その他

東日本大震災の被災地で、失業手当の給付が今月から順次切れ始める中、職を求める被災者が焦りを募らせている。復興に絡む建設関連の求人は多いが、事務職を望むケースが多い女性を取り巻く環境は特に厳しい。求職と求人のニーズのミスマッチによる人手不足も続いており、関係者は「復興が進まないと、雇用の安定につながらない」と話している。

ハローワークに詰めかける求職者(19日、宮城県石巻市)

宮城県石巻市の芳賀和美さん(38)は津波で自宅が流失、勤めていた税理士事務所も被災し職を失った。失業手当は2月2日で期限を迎えるが、再就職先は未定。希望は経験の生かせる経理職だが「無ければ他の職を考えるしかない」と決断を迫られつつある。

ハローワーク石巻によると、31日に発表された管内の同市と東松島市と女川町の3市町の有効求人倍率は0.65倍(昨年12月時点)と、県平均の同0.80倍を下回る。

同ハローワークの担当者は「復興に絡んだ建設関係の求人は多いが、女性は事務職の希望が多く、特に厳しい。女性の場合、家族の世話をする必要から、勤務地や勤務時間などに制約を受ける人も多い」と指摘する。実際、厚生労働省によると、岩手、宮城、福島の被災3県の昨年12月の雇用保険の失業手当給付者は男性が2万5626人に対して、女性は3万6166人と約1.4倍に達する。

失業手当の一般的な給付期間は最短で90日。被害が大きかった被災3県の沿岸部を中心に震災特例で2度延長されたが、1月12日以降、順次期限を迎えている。20日までに給付が終了した1039人のうち517人が未就職。3月末までに最大約6千人が給付期限を迎える。

こうした中、資格取得に動く女性も少なくない。昨年9月に勤務先の金融機関を解雇された石巻市の畠山章恵さん(49)は、ワープロ検定や簿記の資格取得を目指し、専門学校に通学。大学生と高校生を抱え、「正社員として長く働きたい」と願う。

一方、雇用のミスマッチによる人手不足も続いている。岩手県大船渡市の水産加工会社は「復興したくても、肝心の人がいない」と頭を抱える。

2つあった工場が被災し、約50人の全従業員を解雇した。昨年9月の操業再開とともに、約30人を呼び戻し、新たに正社員10人を目標に求人票をハローワークに出したが、これまでに応募は5人。「失業手当も切れ始めている時期なので期待していたのだが……」と担当者は首をひねる。

ハローワーク大船渡の伊藤忠雄所長は「勤務していた会社の再開を期待し、失業手当が切れるぎりぎりまで再就職に踏み出せないケースが多い」とみる。企業の再開は町づくり計画に左右される面があり、「町全体の復興が進まないと、雇用の安定につながらない」と話している。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。