奇面館の殺人 綾辻行人著 全員が仮面 何が本体か?

2012/1/12付
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(講談社・1280円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(講談社・1280円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

館シリーズの第9作。いつかこの手を使うだろうと予想はしていた。犯人も被害者も仮面の下に素顔を隠して「殺人ゲーム」を競う。舞台は、雪に閉ざされた山荘。吹雪荒れ狂う4月(!)の東京、なのである。

殺人劇のために招待された6人の男。生年月日がほぼ一致していて、外見もよく似ている。仮面が目印。奇面館の主人は「もう一人の自分」を探すことが招待の意図だと語るが、真意を明かすにはいたらず、その後あっさり被害者となってしまう。首ナシ死体として発見されるのだ。仮面、顔ナシ死体、牢獄(ろうごく)そのものの屋敷。本格派にはおなじみの道具立てだが、何が見せかけで何が本体なのか、頭の体操にはもってこいというところ。

仮面の美学は、一作かぎりの特殊ルールのようだ。何重もの仮面を玉ねぎのように剥いでいく丁寧なロジック。その陰に肝心の「殺人事件」がかすむ。具が少なくてパンばかり分厚いサンドイッチを供されたような気が若干しないでもないが、そこは、館もののオーラが全編くまなくたちこめているわけだ。

シリーズは大団円に向かっているのか、それとも……。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2012年1月11日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

著者:綾辻 行人.
出版:講談社
価格:1,344円(税込み)

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