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経営、社外役員と一体で

日本エネルギー経済研究所 内藤正久顧問

企業統治を聞く

オリンパスや大王製紙などの不祥事に対応し、会社法改正に向けた議論が進んでいる。ただコーポレートガバナンス(企業統治)向上には会社の取り組みの中身も重要だ。複数の日米企業で社外取締役の経験を持つ日本エネルギー経済研究所顧問の内藤正久氏は「情報を積極開示し、社外取締役と一体になって経営にあたることが大事」と説く。

――社外取締役の選任義務付けの是非など会社法改正の議論をどうみるか。

「米国はエンロンやワールドコムの不正会計事件を受け、サーベンス・オクスレー法(SOX法)の制定など大がかりな改革を実施した。日本も企業統治のシステムを整備すべきだ。経営の透明性と、取締役などの独立性を確保することが特に重要になる。ガバナンスにしっかり取り組んでいる企業がある半面、創業者や経営中枢に長期間とどまっている人に意見しにくい風土の企業も目立つ」

――米デュポンで8年半、米コネクター大手モレックスは13年も社外取締役を務めた。参考になる点は。

「日本企業と大きく違うのは、業務執行から独立した委員会を置き効果的に運営している点だ。デュポンは監査や報酬、指名、戦略の委員会を設けていたが、そのメンバーで執行を兼ねるのは最高経営責任者(CEO)1人だけだった。多様な人材を受け入れて真剣な議論を促した」

「ある国内企業で報酬委員会の設置を主張したところ、社長と同じ大学の出身者だけで構成したことがある。同窓生ばかりを集めても独立性は保てない」

――外部人材を活用する上で重要な点は何か。

「積極的に情報提供し、透明性を確保することだ。米国の企業では社外取締役が社内の人材と交流する機会を頻繁に作っていた。取締役会にあわせて夕食会があり、幹部やその候補らが顔を出す。何回も会えば、人となりも分かる。書類に目を通しているだけでは経営の実態をつかめない」

――社外取締役にはどんな人材がふさわしいか。

「経営からの独立性と経営の基礎知識に加え、経営体験が重要だ。学者や公務員OBなどは中立性はあっても経験が足りない。デュポンでは年8回の取締役会があり、半分は2泊3日の日程で徹底的に議論した。社外取締役には社外研究会に年2回以上参加して報告を義務付けるなど、見識を高める努力も求めていた。日本では思いつきで物を言うだけの社外取締役もいるのが現実だ」

――日本には企業統治が根付いていないといった指摘もある。

「2000年代半ばごろまで欧米企業を参考にしようとする意識があったが、その後は進展していない。日本では資本主義の原点に職業倫理があることへの理解が足りない。ガバナンスの制度や運用だけでなく、理念も踏まえた経営を実践すべきだ」

 ないとう・まさひさ 1961年(昭36年)東大法卒、通産省(現経済産業省)入省。官房長、産業政策局長などを歴任。伊藤忠商事副会長を経て、日本エネルギー経済研究所理事長も務めた。73歳

=おわり

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