笑う子規 正岡子規著・天野祐吉編 俳句とイラストの融合

2011/10/6付
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(筑摩書房・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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子規こそは「野球の父」である。直球、飛球、四球、打者、走者。これらは全て子規の訳語だ。〈生垣の外は枯野や球遊び〉など、野球に関する俳句もたくさんつくっている。

大好きな句がある。〈正月や橙(だいだい)投げる屋敷町〉。私も子規と同郷なのだが、愛媛の子供たちは冬場、橙をボール代わりにして、よく草野球をやった。都会の人は贅沢(ぜいたく)と思うかもしれないが、実はこちらの方がボールより安上がりなのだ。

ある時、子規研究家で俳人の坪内稔典さんの著作を読んで知ったのだが、子規は「分類」の名人でもあった。友人を「愛友」「剛友」「賢友」などと仕分けして遊んでいる。中には「酒友」もいて吹き出しそうになる。

稔典さんによれば子規の笑いやおかしみは「ずらし」によって生じているのだという。有名な自筆墓碑銘の結びは「月給四十円」。これもクスリと笑える。

『笑う子規』は2万4千ほどある俳句の中から、天野祐吉さんが「おかしみの強い句」「笑える句」を選んで、それに南伸坊さんがイラストを添えたもの。今の季節なら、これがいい。〈一日は何をしたやら秋の暮〉。

★★★★

(スポーツジャーナリスト 二宮清純)

[日本経済新聞夕刊2011年10月5日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

笑う子規

著者:正岡 子規.
出版:筑摩書房
価格:1,680円(税込み)

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