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大島親方の秘蔵っ子力士 大相撲・旭秀鵬(上)

大相撲の大島親方(元大関旭国)は来年4月に65歳の定年を迎えるので、来年3月の春場所が師匠の最後の場所となる。ピラニアと呼ばれた業師の親方が有終の美を飾るための部屋の秘蔵っ子が、新十両の旭秀鵬(23、本名トゥムルバートル・エルデネバートル=モンゴル出身)だ。

旭秀鵬は横綱・白鵬も「エバ」と呼んでかわいがる"イケメン"力士だ

愛称は「エバ」

1992年2月に旭鷲山ら6人のモンゴル人が日本の大相撲に初めて足跡を残し、来年で20年。相撲協会の人別帳(名簿)にはこれまで52人のモンゴル力士名が登録され、現在も28人の大勢力だ。

その中でも旭秀鵬は、とりわけ印象深い力士となろう。"イケメン"の力士として。周囲はエルデネバートルを略して「エバ」と呼ぶ。その甘い顔に愛くるしい愛称が、しこ名以上にぴったりくる。横綱・白鵬も「エバ」と呼んでかわいがる。泥臭い土俵の匂いや汗を感じさせない、最近では珍しい美形力士である。

父は運送会社の元社長、母は元教師。首都ウランバートルの中心部に住み、3人きょうだいの姉が軍の病院医師、兄は日本の防衛大に留学して、現在は大統領警護官。何不自由ない生活で、父は、末っ子には軍人関係以外になることを希望した。

柔道で日本に留学

進路を決めるとき、ドイツ留学の話もあったが、両親に話したのは「相撲をやりたい」だった。テレビで日本の相撲のとりこになっていた。

モンゴルでバスケット選手だった旭秀鵬は、国際交流の一環で日本の岐阜第一高に留学することになる。「柔道で五輪選手をつくる」というモンゴルの国策だ。200人から2人選ばれた。

「びっくりしました。すごい田舎で。山とか自然が豊かで、建物は低いし、日本に来る前のイメージとはだいぶ違った」という。

やったこともない柔道であったが、それでもバランスの良さ、天性のバネであっという間に県大会の100キロ級で優勝、東海地区では3位となった。

しかし県大会決勝で持ち上げて投げた瞬間、相手の膝が左の目の下に当たって顔面骨折した。「もっと大きな目標がある」との監督・高橋義裕の方針で全国大会は断念。県大会決勝で破った相手が全国でベスト8までいき、悔しがった。

後悔しない道を」と角界入り

防大に留学中の兄と、モンゴル出身の旭天鵬が巡業で知り合い、高校生の旭秀鵬を含めて食事をするようになった。そこで旭天鵬が旭秀鵬の角界入りの願望を知る。

モンゴル初代の旭鷲山が引退、大島部屋の外国人枠が空いた。旭天鵬は「強くなると思った。顔もいいし、体もいい。どうせなら大島部屋へ」と誘った。

しかし、高校側は進路先に推していた大学との関係があり、国費留学でもあるため事は簡単ではなかった。もめにもめた。だが高橋監督が「自分で後悔しない道を自分で選びなさい」と言ってくれた。「相撲です」。迷いはなかった。

高橋は昨年他界。「生きているうちに(十両に)上がって大いちょうの姿を見せたかったですね」。この話になって、"美丈夫"の顔が声とともにゆがんだ。

(敬称略)

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