友達の数は何人? ロビン・ダンバー著
進化人類学の視点で探る人間

著者はオックスフォード大学の進化人類学の専門家で、「内輪」の仲間の数をあらわす「ダンバー数」で有名な人物。
しょっぱなから、人間の脳が大きい理由が説明される。なんと、一夫一婦制で、常にパートナーに気を遣わないといけないから、脳が発達したらしい。
われわれが三原色で世界を見ているのは周知の事実だが、赤と緑を識別する視細胞はX染色体上の遺伝子の指令でつくられる。だから、(XXである)女性は、微妙に異なる波長に反応する視細胞をもつことができて、3つどころか、4つや5つの色の識別能力をもつこともある。うーん、妻が服の色味にこだわるのには、科学的な根拠があったんですねぇ。
本の後半では「志向意識水準」なる難しい概念が登場する。これこそが、人間と他の動物たちとの決定的なちがいなのだ。
この概念は、人間どうしの複雑な心の探り合いを指すが、シェイクスピアの偉大さは、劇中人物だけでなく、観客の心理までをも読んだ台本の妙にあるのだ。
進化人類学の視点から眺めると、人間の行動がいちいち納得できる! 藤井留美訳。
★★★★
(サイエンスライター 竹内薫)
[日本経済新聞夕刊2011年9月7日付]
★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった