2018年11月18日(日)

コラプティオ 真山仁著 「震災後」を想起させるサスペンス

2011/8/10付
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(文芸春秋・1714円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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二重の意味できわめて刺激の強い近未来ポリティカルサスペンスだ。どちらも「震災後」日本の明日にかかっている。ぎらぎらと強すぎるのは作者の個性か。

政治に強力なリーダーシップを求める声はよく耳にする。本書に登場する首相はプーチン型の独裁者だ。疲弊した国民に希望を与え、ナショナリズムを鼓舞する。この人物は、ウラン資源を求め、アフリカの政情不安定な某国(架空)と太いパイプをつなぐ。これがメーンプロット。

ここから、本書の第2の(強烈すぎる)テーマが浮上する。それは「もっともっと原発を推進せよ」だ。狭い日本に原発を増やせ、ではない。原子炉輸出を基幹にすえた国家ビジネスで広い世界に打って出よ、というのだ。他に再生のオプションはない? これは数年前の『マグマ』で地熱発電の可能性を描いた作者ならではの「提言」だろう。

いや、小説としての紹介が遅れた。ストーリーは、首相のシンクタンクを務める調査官と首相を失脚させるスクープを追う新聞記者、この2人を中心に進む。彼らを補佐する妖怪のような脇役に、ドラマ作りのうまさが光る。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2011年8月10日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

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