2019年2月20日(水)

瞬間を生きる哲学 古東哲明著 今の時間を大事にする生き方

2011/4/22 7:00
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ビジネスに限らない。生活設計。将来の夢。理想を実現するための現在の我慢。そうした「先のこと」を考えるのは当然だし、必要でもある。

(筑摩書房・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

しかし、今回の大震災で、突然、人生を断ち切られたり、あるいはすべてを一瞬にしてご破算にされたりした人たちに思いを馳(は)せるとき、「今を生きる」ことの大切さを考えざるを得ない。

それゆえ「生を生としてじっくり味わって生きてみたことがあるのか」と問いかける本書の前で立ち止まった。イタリアの「ゆっくり行く者が、遠くへ行く」ということわざが紹介されているが、そうかも知れない。私たちは時間に追われ、早く走り過ぎている。

著者は「今後の抱負を考えるより、その日のこと、今この瞬間のことを大事にする生き方」を説く。なるほど。ノー残業の今日。あるいは今度の休日に、画廊にでも足を運んでみよう。本紙・土曜日の別刷り「プラス1」で紹介されている料理を作ってみるのもよい。ともかく今の時間を大切にしよう。

評者は思う。にもかかわらず、やはりあくせくとした時間を過ごす、と。しかしこの本の問いかけを忘れまい。

★★★★

(福井県立大特任教授 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2011年4月20日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

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