2019年9月15日(日)

数学的思考の技術 小島寛之著 人生・社会への活用法を紹介

2011/3/4 7:00
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この本は、一風変わった数学「思想」書である。

(ベスト新書・800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

第1部では、「人に本音をいわせるテクニック」、「勝ち組は、運か実力か」といった、数学的な思考を人生や社会にあてはめ、活用する方法が紹介される。この部分は、いたってフツーだ。

ところが、第2部になると、ガラリと雰囲気が変わる。

「経済社会では、対岸にいる人など1人もいない。仮想「悪者」を叩(たた)いたことから湧いてくる災いは、巡りめぐって自分に降りかかってくるのだ

という具合に、バブル崩壊時の銀行叩きや、リーマンショック時の悪者探しが、不況や失業という形で自分たちに返ってくる怖いお話。あるいは、

継続的な成長が必要なのは、途上国のみであり、先進国には必要ない

というミルの学説が飛び出し、お金だけでは幸せが買えない可能性がほのめかされる。

そして、数学的思考法のきわめつけが「物語」である。村上春樹の作品に秘められた数学性とは、いったい何なのか。

一見、バラバラに見える話題が、すべて数学的思考という縦糸で紡がれている様は、見事というよりほかない。

★★★★★

(サイエンスライター 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2011年3月2日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
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