2019年6月17日(月)

学校主導で使いこなし学ぶ ケータイと付き合う(3)

2011/3/6付
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学校指定の携帯電話のみ校内での使用を認めている須磨学園(神戸市須磨区)

学校指定の携帯電話のみ校内での使用を認めている須磨学園(神戸市須磨区)

学校指定の制服、制帽そして「制携帯」。2010年度の新入生から、学校公認の携帯電話を導入し始めたのは、私立の須磨学園高等学校・中学校(神戸市)だ。

2年の検討を経ての決断。現在は中学と高校の1年生全員と、その他の学年の希望者、教職員が利用している。「制携帯」は学校でも所持することが原則。校内では電源を切るが、昼休みなど一定の時間だけはメールも電話もできる。「制携帯」同士の通話は無料だ。

勉強や睡眠の妨げにならないように夜から朝にかけての一定時間はウェブへの接続自体を制限した。掲示板への書き込みはしないなど、利用上の規則「制携帯ハンドブック」も作成した。

教師には生徒からの相談メールなどが学校外でも届く。学校側の手間は膨大だ。一部の保護者の間では「学校のすべきことか」という声もあった。それでもなお導入したのは、08年の同学園の調査で、中学生の87%、高校生の92%が携帯電話を使っていたからだ。「ルールと危険性を理解してこそ便利な道具になる。自動車と同じ」と西泰子理事長。実際には学校が受け皿になるしかないと判断した。

もともとIT(情報技術)を前向きに取り入れる同校らしく、携帯電話を授業でも使い始めている。情報の授業では自分が好きな景色を携帯カメラで撮り、リポートする課題が出た。沈む間際の夕日や飛行機雲など、携帯電話だからこそ切り取れる瞬間が多数寄せられた。生徒の理解度を確かめるために先生がメールでちょっとした小テストを出すこともある。

肌身離さず持つが、一定の距離を保ちつつ、上手に使いこなす生徒が多い。その一助となっているのが、学校が生徒に手渡す利用明細書だ。基本料金に利用に応じて料金が加算される。

「最初に友達の倍くらいの料金になって親にしかられた」と話す中学3年の山下恵利佳さん(15)。動画を見すぎたためだ。急いで料金の仕組みを確認し、今は動画は見ないようにしている。

高校1年の王志成くん(16)も「課題も多くて忙しい。家でも動画やメールばかりしていられない」と冷静だ。料金と時間がかかるという自覚があるようだ。

慶応大学経済学部の田中辰雄准教授は「今後しばらくはインターネットを基盤にする世界だろう。ならばそれを使いこなす能力が、読み書きと並ぶ能力として重要になる」と指摘する。知りたい情報や知識を検索したり、手に入れたりする能力が高い大学生は増えているという。

新しいサービスや事業がネットを基盤に生まれるなら、ITツールの一つである携帯電話を「遠ざけるばかりが得策ではない」と田中さん。全員に当てはまるわけではないが、親子が一緒にサイトを見たり、教室で新しいサービスを教え合うなど、家庭、学校ぐるみで情報機器の新しい活用方法を探るのも、一つの有力な方策だろう。

(清水桂子)

[日経プラスワン2011年2月19日付]

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