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湾岸諸国が警戒 地域力学に変化も

イラン影響力拡大、台頭するシーア派 バーレーンなどデモ続く

【カイロ=松尾博文】エジプトの政変に触発された抗議デモが中東各地で続発している。なかでも中東湾岸の島国バーレーンで表面化したイスラム教シーア派の抗議行動はペルシャ湾地域の力学を変える可能性を秘める。国民構成で多数派ながら抑圧されてきたシーア派の台頭は、同じシーア派国家であるイランの影響力拡大につながりかねず、サウジアラビアなどスンニ派の周辺諸国は警戒を強めている。

君主制に影響か

バーレーンでは16日、衝突による2人目の犠牲者となった男性の葬儀に千人以上が集まった。参加者は犠牲者を「殉教者」と呼び、政治改革実現に向けた抗議継続を訴えた。上空では治安部隊のヘリコプターが警戒にあたったが、地上の治安部隊は介入せず衝突は起きていない。

バーレーン内務省は15日深夜、デモ参加者2人の死亡に関与した容疑で複数の警察官を拘束した。しかし、首都マナマ中心部に近い「真珠広場」では16日も前日夜から抗議を続ける参加者ら2千人がとどまり、テントを設営するなど長期化に備えている。

バーレーンで表面化した抗議デモについて、サウジなど周辺国政府は表だった反応を避けている。しかし、湾岸の君主制国家に深刻な影響を与えかねない小国の動向を注視している。

1979年に起きたイラン・イスラム革命の指導者故ホメイニ師は「革命の輸出」を唱え、対岸の湾岸諸国は警戒した。イスラム教の聖地メッカを抱えるスンニ派の盟主サウジには東岸地帯に多数のシーア派が居住、このエリアは油田地帯と重なる。

サウジなど6カ国が湾岸協力会議(GCC)を創設したのは81年。共通市場の創設など今では地域経済機構の色彩を強めるが、本来はイランの革命波及の防止を目的とする君主同盟だった。湾岸諸国はイラン・イラク戦争でイラクに軍事的盾の役割を求め、旧フセイン政権を強力に支援した。

しかし、2003年のフセイン政権崩壊後のイラクでは民主選挙で国民の多数派を占めるシーア派が主導するマリキ政権が発足。イランが足場を確保した。湾岸諸国はイラクを通してイランと真っ向から対峙する事態となり、ミサイル防衛など軍備増強を急いでいる。

米国にジレンマ

サウジにとりバーレーンは、中国における香港の役割を果たしてきた。厳しい宗教的規制の下にあるサウジでは難しい金融やビジネスをバーレーンで手掛け、サウジのオイルマネーを目当ての外国人も集まった。

バーレーン政権が民主化要求を受け入れ、シーア派の台頭を許せば、サウジは懐に重大な脅威を抱え込む。イラン封じ込めを掲げてきた米国にとっても、中東での民主化を推し進める結果イランの影響力が拡大するジレンマに再び遭遇することになる。

イランの国営プレスTVは15日、サウジがデモ対策に軍部隊をバーレーンに送り込んでいると報じた。情報は確認されていないが、バーレーンの混乱が拡大すればサウジが介入するシナリオも否定できない。

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