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規律重視、組織力で勝つ J1山形GM・中井川茂敏(上)

1990年の東北リーグ昇格、94年のJFL昇格、そして2009年のJリーグ1部(J1)昇格。NEC山形サッカー部からモンテディオ山形となって浮上を続けるクラブの歴史は、常務理事兼ゼネラルマネジャー(GM)の中井川茂敏を抜きに語れない。

組織構築に自信

09年度の営業収入はリーグ最少の約11億6000万円で、J1平均の3分の1にすぎない。チームの人件費は約5億7000万円。J1で10億円を割っているのは山形だけだ。そんなチームが09年、10年(営業収入見込みは13億円)と続けてJ1残留を果たした。

「昇格を決めた08年もそうだったんですが、自信はあったんですよ。補強に始まって、いい準備ができていたので」。中井川の自信は、軸がしっかりした組織が築けているという手応えに裏打ちされている。

チームに規律

10年間、NEC山形の社業に戻っていた中井川は07年10月にGMとしてクラブに復帰すると、チームに規律を植え付けることに力を注いだ。「マナーを重んじ、公人であることを意識して振る舞ってほしい」と訴え、「移動中は列車にゴミを残さないように」ということまで注意した。

財力の乏しいクラブ、選手層の薄いチームだからこそ、組織をがっちり固めて戦わないと勝機は訪れない。そのためには、しっかりした規律が必要だった。

警告、退場、出場停止試合の数から算出する反則ポイントを見ると、チームの変質がよくわかる。06年に163、07年に181だったポイントが、中井川が復帰した08年に63に激減。J1に上がった09年は23、10年は28でともにリーグで2番目に少なかった。一発退場は2年続けて0だ。

罰金制度を撤廃

監督の小林伸二のマネジメント能力を示す数字でもあるが、この変質には一つのきっかけがあった。中井川の復帰前、クラブは異議、暴言などで警告を受けた選手に罰金を科していた。選手の要望を受け、この罰金制度を撤廃してみたら、警告、退場が減ったのだというから人の心理は面白いものだ。

戦力が乏しいだけに、出場停止が重なると苦しい。その点も選手が理解している。さらに言うと、山形の選手はクラブの経営規模の小ささを頭にたたき込んで戦っている。「小さい組織」が生き残っていくにはどうしたらいいのかを考えてピッチに立っている。

チームスピリットを共有

「GMとはチームとフロントのつなぎ役」と定義する中井川は、選手に経営状況を正確に伝えている。選手の獲得交渉の際にも同じように内情を開示し、理解を求める。「クラブが置かれた状況を理解した選手でないと、ここでは戦えない。だから、どんなにうまくても、不満を漏らしそうな選手は取らない」

組織を乱さず、泥臭く、余力を残さず戦うチームスピリットを中井川は大事にする。春先、ユース、ジュニアユースの入団式を選手の家族も集めて催し、そのスピリットを伝授する。そして、クラブにかかわるすべての人間にその精神を共有させる。一つに固まり、いわば「生き方」を定めた組織は強い。

(敬称略)

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