2019年8月20日(火)

中国が電力供給削減 素材企業の生産を制限
省エネ目標達成優先

2010/10/26付
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【北京=多部田俊輔】中国の地方政府で企業向けの電力供給を削減する動きが広がっている。省エネ目標達成を優先するためで、鉄鋼などエネルギーを大量消費する産業の生産を制限している。9月の粗鋼生産量が9カ月ぶりの低水準となるなど経済活動に影響が出ている。

中国で省エネ目標達成のための生産抑制が本格的に始まったのは9月ごろ。河北省が9月、鉄鋼会社などに一時的に電力供給を絞って事実上の生産中止を命じた。10月に電力供給を再開したが、鉄鋼関係者は「年末までは電力供給量は通常の5~7割程度に絞られているため、生産量も増やせない」と話す。

河北省に加え、陝西、山東、浙江の各省、広西チワン族自治区などの地方政府も9月に生産制限を実施。対象企業は鉄鋼やアルミ、化学が多いという。国家エネルギー局が9月末に地方政府に省エネ目標の達成をあきらめないように働き掛けたため、10月には河南省、山西省にも生産制限の動きが広がった。

9月の経済統計によると、発電量は前年同月比8%増の3487億キロワット時。前年同月比の増加率が1けた台だったのは、旧正月の連休のずれで比較が難しい1、2月を除くと昨年9月以来。粗鋼生産量は昨年12月以来の5000万トン割れとなった。

企業は対応を迫られている。浙江省の自動車部品メーカーの社長は調達担当幹部に「金属材料の在庫を急いで積み増せ」と指示を出した。金属大手企業からの納入が最近減っているため、「部品の取引先である国有自動車大手の社名を出して、優先的に材料の供給を受けるように求めたい」と打ち明ける。

中国政府は2010年までの5カ年計画で国内総生産(GDP)を一定額生み出すために使うエネルギー消費量を20%削減する目標を掲げたが、09年までの累計削減実績は15%減程度。今年上半期は省エネ対策より景気回復を優先したため増加に転じた。目標達成は難しく、外資系証券アナリストは「企業活動を直接制限して目標を達成する狙いだ」と分析する。

エネルギー問題に詳しい南開大学の鐘茂初教授は「生産制限はエネルギー消費構造の根本的な改善にはつながらない。企業が新技術を導入するような施策を実行し、社会全体のエネルギー効率を高めるべきだ」と指摘する。

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