2019年8月26日(月)

梅棹忠夫 語る 聞き手・小山修三 ゆるぎない学問観が裏打ち

2010/10/13付
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(日経プレミアシリーズ・850円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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和辻哲郎は、現実をまったく見ていない。まこと、スカタン(ピントはずれ)な学者である。丸山真男は、陽気でいい人だった。だが、その学問は、なんの独創性もなく、つまらない。桑原武夫におそわったのは、研究者としての処世術である。自分に、今西錦司の手で育成されたという思いは、まったくない。

碩学(せきがく)についての、歯に衣(きぬ)を着せぬ回想が、つぎからつぎへとくりひろげられる。これは、今年なくなった人類学者、梅棹忠夫からの聞き書きをまとめた本である。話っぷりに、まよいやためらいはない。読んで、胸のすくような気持ちがわく。

といっても、老学者の放言集ではない。談話はみな、梅棹のゆるぎない学問観にうらうちされており、説得力をもつ。自分の目で物を見よ。きどって、文章をかざりたてるな。学問をくさらせる最大の要因は、自分をえらく見せたがる心である。そんな信念から、月旦(げったん)はなされている。

私は梅棹の主著である『文明の生態史観』を、あまり評価しない。だが、梅棹が学問にかけた情熱、道楽だからこそうちこめるという考えは、よくわかる。若い世代に読んでほしい一冊である。

★★★★★

(風俗史家 井上章一)

[日本経済新聞夕刊2010年10月13日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

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