イスラム保険専門会社が続々 マレーシアやサウジで
巡礼資金の貯蓄商品も 日米欧が参入競う

2010/10/7付
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中東や東南アジアで、イスラム法に沿った保険を専門に扱う会社の設立が活発になっている。マレーシアで欧米系企業が認可を取得。サウジアラビアやエジプトで東京海上ホールディングスが事業参入し始めるなど日本勢の活躍も目立つ。石油マネーを抱える中東産油国や人口の多いインドネシアを含め15億人とされるイスラム圏への一層の普及が期待される。

設立が増えているのはタカフル(相互扶助の意)と呼ぶイスラム式の保険業を手掛ける会社。中東では、特にアラビア半島諸国で「神の定めた運命を人為的に担保するのは教義に背く」との考え方が根強く、保険の普及が遅れていた。近年はサウジでの保険法整備など国による普及策もあり、イスラムを尊重したタカフルが増えている。

マレーシアでは9月上旬、同国中銀が米アメリカン・インターナショナル・アシュアランス(AIA)、オランダのINGなど外資系を含む保険4社に、タカフルの取り扱いを新たに認定。マレーシアでタカフル免許を得た企業は合計12社に増えた。

中東では、東京海上が4月にサウジで政府系のアルインマー銀行と日本の保険会社として初のタカフル合弁会社を設立すると発表。1月にエジプトでもクウェート・エジプト資本とタカフルの合弁会社を開業しており、アラブ勢と競っている。

国際会計事務所アーンスト・アンド・ヤングによると、タカフル市場の規模(拠出金べース)は2000年代前半に年間10億ドル(約830億円)台だったのが、08年には推定で53億ドルまで拡大した。

金融危機の影響も出てはいるが、アジアでは「年金・貯蓄型の保険が必要との考えが強まった」(英HSBC系アマナ・タカフルのザイヌディン最高経営責任者=CEO)。パキスタン、マレーシアでは10年のタカフル保険料が前年比で20%増える見通しだ。

タカフルは生命保険など「ファミリー型」と損害保険タイプの「ゼネラル型」の2種に大別される。ファミリー型では近年、米国株や商品市場で運用する投資型など普通保険を参考にした商品も誕生。イスラム教徒が重視するサウジ・メッカへの巡礼資金を貯蓄できるなど、教徒の信仰心に訴えるユニークな商品もマレーシアなどで発売されている。

(編集委員 中西俊裕)

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