防ごう!熱中症 賢い「水分補給」術
真水より塩分含む水、速く吸収

2010/8/8付
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 暑い日が続き、熱中症になる人が増えている。予防には適切な水分補給が大切で、のどが渇いていなくても、30分ごとにコップ半分の水分をとるように、と専門家はアドバイスする。ただ、真水は体内に吸収されにくいなど、飲料の種類や飲むタイミングによって効果はまちまち。夏の水分補給のポイントをまとめた。

総務省消防庁の調べでは、熱中症で病院に搬送された人は7月、1万7680人と昨年より約5千人増えた。東京都三鷹市にある杏林大学医学部付属病院高度救命救急センターでも、梅雨明け後から熱中症で搬送される患者が目立つようになった。熱中症まではいかないが脱水症状で運ばれた人も多い。山口芳裕センター長は「とにかくこまめに水分補給をしてほしい。脱水になっても水分をとれば熱中症を防げる」と強調する。

1日1~1.5リットル必要

一般に大人の場合、1日に1~1.5リットルの水分が必要とされる。食事から約1リットル得られるが、毎日2.5リットルは尿などとして排せつされているからだ。

水分が不足すると汗が出なくなり、体の深部温度が高くなる。37~40度になると、だるさや食欲不振など熱中症の症状が出てくる。40度以上で意識がなくなるなど神経症状が表れる。

労働安全衛生総合研究所国際情報・研究振興センターの澤田晋一センター長は「夏場の水分補給はのどの渇きを潤すために飲むだけでは不十分」と語る。建築現場など屋外の職場で熱中症を起こした患者を調べたところ、水分補給をしていても熱中症になる例が少なくなかった。

澤田センター長らは夏場のような暑い環境下で軽い運動をしたときの体への影響と水分摂取状況を調べた。20歳代の男性7人に、室温を30度台に設定した中で30分間の歩行運動をしてもらったのち、のどの渇きがおさまるまで好きなだけ水を飲んでもらった。熱中症リスクの指標になる深部体温を計測し、運動の前後で体重の変化を調べた。

深部体温が上がり、発汗によって体重が減っていた。飲んだ水の量を調べると、体重が平均261グラム減少した場合は同208グラム。発汗で失った水分を補えていなかった。

夏場はどの程度の量の水分を飲めばよいのだろうか。

日本医科大学の飯野靖彦教授は「汗で減った体重と同量の水を飲むのがよい」と話す。例えば、海外のマラソン選手は、練習で走る前後の体重をあらかじめ計測して汗の量を割り出し、相当する量の水分をマラソン中に補給しているという。

就寝前には多めに

ただ、汗の量を正確に把握するのは日常生活では難しい。人間総合科学大学の藤田紘一郎教授は「特別な運動をしているときでなければ、日中は30分ごとにコップ半分くらいを飲めばよい」と説明する。睡眠中は水分補給ができないため、就寝前と起床時はそれぞれコップ1杯ずつ飲むようにする。

体調や状況で飲む水の種類を変えるのも効果的だ。

脱水症状など熱中症になりかけているときには、体液と近い組成で塩分が入っているものがよい。スポーツ飲料や0.1~0.2%食塩水なら、飲んでから数分で体内に吸収される。真水だと吸収に数十分かかり、半分くらいしか吸収されないこともある。

運動で大量の汗をかく場合も塩分を含む水がよい。ただ、スポーツ飲料は糖分が多く含まれることもあるため、常時飲み続けていると一過性の糖尿病になったり、太ったりするので要注意だ。

一方、「日常的に飲むのなら、ミネラルウオーターなどの天然水」と藤田教授。食生活によって飲み分ける。食事が和食が多いなら腎臓への負担が軽い軟水が合うが、脂肪やコレステロールが多い洋食の場合は硬水を一緒に飲むと脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の予防にもなるという。

(長倉克枝)

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