中国の日本国債への投資が急拡大している。財務省が8日発表した国際収支統計によると、5月単月の中国の日本国債の買越額は7352億円で、過去最高だった2005年の年間買越額の2.9倍にのぼった。欧州の財政危機の高まりを受け、中国当局が膨らむ外貨準備の運用先を日本の短期国債に広げているとみられる。
内訳をみると、期間が1年以内の短期債の買越額が6948億円で、買越額の大半を占めた。期間が5年や10年などの中長期債は404億円の買い越しだった。短期債の買越額は単月では過去最高となる。
中国は09年まで日本国債を売り越していたが、欧州の財政問題によるユーロ安などを受け、今年は1~4月の累計で5410億円を買い越した。5月はさらに投資を拡大し、年初からの5カ月間で買越額は計1兆2762億円となった。
中国の国債買いは中国人民銀行(中央銀行)の外貨準備の運用が大半とみられる。人民元相場を維持するため人民銀はドル買い介入を繰り返し実施している。3月末の外貨準備高は2兆4471億ドルまで膨らんでいる。
7割程度をドル資産で運用しているもようだが、中国は投資先をドル資産以外に多様化する方針を打ち出している。中国外務省は6日の記者会見でも「(運用の)多元化を徐々に進めている」と述べた。
投資の分散先としては、これまで中国の主要な貿易相手でもある欧州のユーロの比重を高くしてきたもようだが、ギリシャ危機をきっかけに欧州経済への不安が台頭してきた。市場ではユーロ安による運用損を避けるため「結果的に、日本に資金を振り向けている」(土山直樹みずほ証券マーケットエコノミスト)との見方が多い。