役員報酬、従業員給与の4.8倍に 10年3月期の主要企業平均、本社調査
格差、大幅に縮小

2010/7/7付
保存
共有
印刷
その他

2010年3月期の主要企業の役員報酬平均は従業員給与平均の4.8倍と、09年3月期(5.8倍)から大幅に縮小したことが分かった。データをさかのぼれる06年3月期以降、報酬格差は広がる一方だったが、企業は08年秋以降の経営環境悪化への対応で、従業員給与を上回るペースで役員報酬を削減した。

日本経済新聞が日経500採用の3月期決算企業433社を対象に調査した。6月末までに開示された10年3月期の有価証券報告書から役員報酬(社内取締役)の総額と役員(同)の人数を抽出し平均値を算出、同様に開示されている従業員の平均年間給与と比べた。

前期の役員報酬(基本報酬、賞与、ストックオプション=株式購入権、退職慰労金など)の平均は3484万円。前期には1億円以上の報酬を受ける役員の個別開示が話題になったが、全体の5割強にあたる228社では役員報酬平均が2千万~4千万円の範囲に収まった。一方、賞与や基準外賃金を含む従業員給与の平均は722万円。

06年3月期以降、09年3月期まで報酬格差は一貫して拡大してきた。前期に格差縮小に転じたのは、企業が役員報酬について従業員給与の削減幅を上回る大幅カットに踏み切ったことが主因。業績悪化局面での人件費削減に当たり、高額な役員報酬の削減を優先して、従業員給与の削減を小幅にとどめたようだ。

そもそも役員を社内から登用することが多い日本企業では、高額な役員報酬はなじまないとされてきた。「家族的な一体感を重視する日本的経営が役員報酬の高騰を抑えてきた」(労働政策研究・研修機構の伊藤実氏)

一方、欧米企業では役員報酬や従業員給与の平均データはないが、格差は日本企業より大きいとみられる。森岡孝二関西大学教授は「米企業では役員報酬と従業員給与は全く別の原理で決まる。一部企業では経営トップと一般従業員の報酬格差は350~500倍ともいわれる」と指摘する。

また今年4月に入社した大卒新入社員の初任給の平均は月額20万9200円(日経調べ)。会社が月給2カ月分の賞与を年2回支給すると仮定すると、年収は330万円強になる。役員報酬は大卒新入社員の年収の約10倍にあたる。多くの日本企業では役員ポストはいわば会社人生のゴール。それでも報酬の面では新入社員からみてかけ離れた存在ではなく、企業が社内の一体感の維持に腐心する姿もうかがえる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]